日本ロシア経済委員会合同会議(委員長 河毛二郎氏)/3月26〜29日

極東開発などで日ロの協力を促進


日本ロシア経済委員会では、ロシア日本経済委員会(会長ヴォリスキー ロシア産業企業家同盟会長)との合同会議を開催した。
基調報告で河毛委員長は「日ロ関係に新しい展開を開く、ビジネスチャンスの発掘を」と述べ、ヴォリスキー会長は「企業の交流こそが両国経済関係の将来を担っている」と応えた。
以下は会議で採択されたメモランダムの全文である。

日本ロシア・ロシア日本経済委員会第2回合同会議
メモランダム

1996年3月26日〜29日
東京において

1996年3月26日から29日まで、東京において、日本ロシア経済委員会とロシア日本経済委員会の第2回合同会議が開催された。会議には、日本側から、日本ロシア経済委員会委員長の河毛二郎氏を団長とし、約110名が参加した。ロシア側からは、ロシア日本経済委員会委員長・ロシア産業家企業家連盟会長のA.ヴォリスキー氏を団長とし、約70名が参加した。

日本政府から、浦部外務省欧亜局長ほか通産省および大蔵省の幹部が参加した。ロシア政府からは、コフ国家資産管理委員会第一副議長のほか、経済省、対外経済関係省および燃料電力省幹部が、また、ノヴォショーロフ極東ザバイカル地域経済協力協会事務局長ならびに極東シベリアの地方行政府幹部ほかが参加した。来賓として、小倉外務審議官、坂本通商産業審議官ならびにチジョフ駐日ロシア大使が参加した。また、日本側から地方自治体の代表がオブザーバーとして出席した。会議には、橋本龍太郎日本国首相ならびにV.S.チェルノムイルヂン・ロシア連邦首相から祝辞が寄せられた。

ロシア側代表団幹部は、池田外務大臣、坂本通商産業審議官,豊田経団連会長に表敬した。

会議では、河毛、ヴォリスキー両委員長が基調報告を行った。双方委員長は、これまでの双方委員会の会合を通して具体的な行動を起こす基盤ができあがりつつあり、今次会議は日本とロシアとの経済交流の将来に向けた重要な契機になることを確認するとともに、第4次森林資源開発協力およびサハリン大陸棚石油天然ガス開発の早期実現、極東4案件(ソンツェフスコエ炭田開発関連、ワニノ港拡充、ハサン地区トランジット輸送システムの充実ほか)の事業化調査の早期実施などへの期待を表明した。さらに、長期契約に基づいて南ヤクート原料炭の輸入が継続していること、また、ヤクーチア天然ガス開発問題について協力が進められていることに満足の意を表明した。両委員長は、政府間貿易経済委員会との協力の必要性を強調した。また、河毛委員長は、支払い遅延問題が速やかに解決されることが、日ロ経済交流の発展に大きく寄与することを指摘した。一方、ヴォリスキー委員長は、市場経済移行の手法および優先政策は、状況を考慮しつつ修正されると指摘したが、ロシアの経済改革が後戻りすることはないことを強調した。また、両委員会が共同で検討し提起するプロジェクトが、政府間貿易経済委員会など政府レベルでの支持を得ることへの期待を表明した。

引き続き、第1テーマ「ロシアにおける内外投資に係わる諸問題」と第2テーマ「極東長期発展プログラムと日本・極東間の経済交流」の2つのテーマを巡って報告と討議が行われた。

第1テーマでは、ロシア側から最近の投資政策および外資導入の具体的動向について説明があり、日本からの投資の拡大への期待が表明された。日本側は、ロシアの投資環境が改善されつつあることを歓迎しつつも、なお一層の改善を希望した。ロシア側は、投資促進保護協定締結の必要性を表明した。また、会議では、双方経済人の一段と緊密な交流およびロシア側の日本における投資誘致活動の積極的な展開の重要性が指摘された。

第1のテーマに関連し、ロシア側は、投資プロジェクトのプレゼンテーションを日本ならびにロシアで行うことが重要であると指摘し、本年5月にハバロフスクで開催される第1回国際極東投資会議への参加を日本側に呼びかけ、日本側からはロシアの投資関連情報入手システム設立の検討が提案された。双方共同でそれらの実現に向けて準備を進めることとした。

第2のテーマでは、ロシア側から2005年までの極東における長期発展プログラムについて具体的な説明がなされ、その実現が両国の互恵的貿易経済関係の促進に寄与することが強調された。日本側は、同プログラムに予定されている具体的措置が着実に実施されることを期待するとともに、サハリン大陸棚石油天然ガス開発の円滑な実行が日本とロシアとの経済関係に好影響を及ぼすことを指摘し、ロシア側も同意した。また、第2のテーマについて、今次会議での討議に引き続き、双方極東専門委員会間で意見交換と協力を前進させていくこととした。ロシア側から、極東専門委員会の枠内で日本とロシアとの地域協力問題を審議する作業グループの設置が提案された。

さらに、会議は、両国間の輸送・通信関係を一層発展させることが、日ロ間の貿易経済関係全体にとって重要であると指摘した。その関連で、会議は、日本側がハサン地区トランジット輸送システムに係わるFS作成に着手したことを歓迎し、ロシア側はFSの早期完了を希望した。また、会議では、シベリア・ランド・ブリッジの利用拡大ならびにナホトカ経済特区の発展について、協議を進める必要性が強調された。

会議の期間中、日ロ双方のビジネス関係者間で多数の会合が持たれ、各種の契約ならびに趣意書が調印された。

会議は、率直かつ好意的で、経済交流を促進しようとする雰囲気の下で行われた。

次回合同会議は、1997年の双方が合意する時期にモスクワで開催する。


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