月刊 Keidanren 2002年 1月号 巻頭言

痛みを乗り越え、活力溢れる経済社会の構築を

今井会長 今井 敬
(いまい たかし)

経団連会長

 昨年は、年初からのIT不況に米国同時多発テロ事件が重なり、世界経済は堅調な中国を除き急減速を余儀なくされました。日本経済も、名目成長が3年連続マイナスに陥り、なお物価下落が続くなど、過去に例のない深刻な景気低迷に呻吟しております。

 従来型の景気対策が行き詰まる中、「構造改革なくして経済再生なし」との小泉内閣の方針は、昨年の政権発足以来、国内世論の高い支持を集めております。私たちは本年こそ、改革に伴う痛みを乗り越え、活力溢れる経済社会を構築すべく、構造改革断行の正念場を迎えているのであります。

 企業における最大の責務は、一刻も早い産業再生の実現であります。そのためにも、私的整理のガイドラインやRCC機能拡充などによる不良債権・過剰債務の迅速な処理と、事業の再編・整理を強力に進める必要があります。同時に、新たな成長基盤の確立に向け、最大限の英知と努力を傾注しなければなりません。技術開発・規制緩和の成果を活用した新産業・新事業開拓、産学官連携によるイノベーション創出などに果敢に取り組むべきです。経済活動と調和した温暖化対策の実行や、循環型社会に向けた施策の整備も待ったなしと申せましょう。

 一方政府には、「民でできることは民で」との大原則の下、思い切った規制改革・特殊法人改革等により、経済活動への国の関与を大幅に減らすことが求められます。歳出構造・社会保障・税制を一体とした財政構造改革を通じ、国民の将来不安を払拭することも大きな課題であります。

 本年5月、経団連は日経連と統合し、強力な政策提言能力・実現能力を有する総合経済団体を目指してまいります。構造改革断行元年とも言うべき本年、新生「日本経済団体連合会」へのご支援をよろしくお願い申しあげます。


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