経済再生への覚悟

新年、明けましておめでとうございます。

金融不安を背景として世界中で吹き荒れた経済の混乱は、各国連携のもとで実施された経済対策も功を奏し、概ね落ち着きを取り戻しつつある。しかし、内外において、雇用の悪化をはじめ予断を許さない状況は続いており、一刻も早く経済を自律的な回復軌道に乗せることが急務となっている。芽吹き始めた蕾が大きな花を咲かせるためには、しっかりと根が張りめぐらされ、十分な栄養が随所に行きわたる必要がある。今年は、ぜひそうした年にしたい。そのためには、切れ目ない政策の実施や一層の国際協調によって、経済の持続的な成長を可能とする環境を整備する必要がある。

わが国では、昨夏の総選挙を経て、政権交代が実現した。グローバル化の進展と急速な少子化・高齢化のなかで、雇用不安、地域経済の疲弊や社会保障制度への不信を抱え、国民は変革を求めた。新政権は、国民の期待に応え、経済成長力の強化や財政健全化、税制抜本改革、持続的な社会保障制度の確立、地球環境問題への対処、地域経済の活性化などに積極果敢に取り組む一年として欲しい。

これらは、国民の総力を結集して取り組まなければ解決できない課題であり、経済界としても最大限の努力を惜しまない。特に、雇用の維持、人材育成、イノベーションの推進、国際競争力の強化など、企業活動を通じた自らの責任を果たしつつ、民間活力を軸とした経済の安定的成長の実現に寄与したい。もとより、日本経団連の使命は、民主導・自律型の経済社会の実現に向け、企業の付加価値創造力の向上、その活動を支える個人や地域の活力の向上を促し、わが国経済ならびに世界経済の発展を促進することにある。いかなる状況にあっても、この使命を果たす覚悟に揺るぎなきことを、新年にあたり改めて表明したい。