経済くりっぷ No.7 (2002年10月22日)

10月15日/意見書

平成15年度新規学卒者の採用・選考に関する企業の倫理憲章について


「新規学卒者の採用・選考に関する企業の倫理憲章」は、公正で秩序ある採用活動の実現に向けた企業の行動規範を示したもので、就職協定を廃止(平成8年度)したのち、「新規学卒者採用・選考に際して特に配慮いただきたい事項についての要望」とともに毎年、旧日経連会長名で公表し、ひろく企業の理解と協力を求めてきた。
倫理憲章においては、大学等(大学、短大、高専)新規学卒者の採用・選考にあたって、(1)企業情報、採用情報の公開を徹底する、(2)採用選考活動の早期開始を自粛する、(3)正常な学校教育と学習環境の確保に努める、(4)公平・公正で透明な採用を推進する、といった点に十分配慮した行動をとるよう企業に呼びかけている。
別掲15年度の倫理憲章と要望では大学等の強い要請に応え、改めて学習環境の確保を念頭において採用活動早期化の自粛を促し、併せて大学院修士課程修了者の採用にも同様の配慮をすべきことを訴えている。各企業が本倫理憲章の趣旨を十分に理解した上で、適切な採用選考活動を実践されることを期待したい。


平成15年度新規学卒者の採用・選考に関する企業の倫理憲章

(社)日本経済団体連合会
会長 奥田 碩

企業は、自己責任原則に基づいて自主的に行う、平成15年度大学等新卒者の採用・選考にあたり、下記の点を十分配慮して行動する。

1.情報公開の徹底

学生の就職機会の均等を期するため、企業情報ならびに採用情報(採用人数、説明会日程、選考期日・場所等)については、可能な限り速やかに、適切な方法により詳細に公開する。

2.採用選考活動早期開始の自粛

学生が学業に専念し、また企業、職業を研究・選択する十分な時間を確保するために、採用選考活動の早期開始は自粛する。まして特に卒業学年に達しない学生に対して実質的な選考活動を行うことは厳に慎む。

3.正常な学校教育と学習環境の確保

採用選考活動にあたっては、大学等の学事日程を尊重し、正常な学校教育と学習環境の確保に努める。

4.公平・公正な採用の推進

公平・公正で透明な採用の推進に努め、学生の自由な就職活動を妨げる拘束や、男女雇用機会均等法の精神に反する採用選考活動は行わない。

5.採用内定開始日

正式内定日は、10月1日以降とする。

6.その他

大学院修士課程修了者の採用選考においても学習環境の確保に十分留意する。また高校卒業者については教育上の配慮を最優先とし、安定的な採用の確保に努める。

以 上

平成15年度新規学卒者採用・選考に際して
特に配慮いただきたい事項についての要望

(社)日本経済団体連合会
会長 奥田 碩

平成15年度の大学等新規学卒者の採用・選考にあたり、企業の行動規範を示す「倫理憲章」を定めた。各企業におかれては、大学側の指摘や要請に応え、秩序ある就職・採用を実現するためにも、倫理憲章の趣旨に則って下記事項を踏まえた採用選考活動を進めていくことを期待する。

  1. 採用・選考は、本来、各企業の自由な意志と発想に基づき実施されるべきものであるが、そこには勿論、社会的・道義的な責任が伴う。特に卒業学年に達しない学生に対して実質的な選考活動をすることや、学生、大学等関係者の反発を招くような行為は企業として厳に慎まなければならない。

  2. 情報を速やかに公開することと採用活動を早期化させることは、全く意味が異なる。「企業情報の速やかな公開」は、就職活動に先立って業界や企業の研究を行う学生に必要な情報を十分に提供するという意図によるものである。また「採用・選考に関する情報の速やかな開示」は、学生たちの不安やあせりの気持ちを沈静化させることにつながる。当然ながら、公表した内容を誠実に守ることは企業の責務である。

  3. 大学側の要望である「正常な学校教育と学習環境の確保」に応えるためには、採用選考活動の早期開始を自粛するとともに企業説明会や採用選考を土日、祝日、あるいは平日の夕刻に設定したり、日程を分散の上、応募する学生が希望日を選択できるといった工夫と実践が必要である。

  4. 如何なる理由づけをしようと、身柄を拘束したり、他社の内定を強制して断らせるなど、学生の自由な就職活動を妨害する「公平公正な採用」の精神にもとる行為は断固排除されなければならない。

以 上

《担当:国民生活本部》

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