経済くりっぷ No.12 (2003年1月14日)

12月4日/アロヨ フィリピン共和国大統領歓迎昼食会

日本はフィリピンおよびASEANの信頼できるパートナーである


12月4日、国賓として訪日したアロヨ フィリピン共和国大統領を迎え、日本商工会議所、日本経団連、経済同友会、日本貿易会、日比経済委員会の5団体共催で歓迎昼食会を開催した。5団体を代表して、山口日本商工会議所会頭が歓迎挨拶を行った後、アロヨ大統領より挨拶があった。

アロヨ大統領

○ アロヨ大統領挨拶要旨

1.フィリピン経済の状況

  1. 2002年の第3四半期までに、フィリピン経済はGDPで4.1%、GNPで5%の成長を見せた(工業部門は3.8%、サービス部門は5.1%成長)。これは、数年前からの規制緩和や自由化によるところが大きい。

  2. 昨年は3.4%のGDP成長率を達成し、本年も4.0%という世界銀行の予測を満たす勢いである。世界銀行では2003年も4.3%という予測をしている。

  3. フィリピン政府は、持続的な成長に向け、階級や部門の利害から独立し、しっかりとした制度・官僚機構を有する強い国家を築き上げることを目指している。

  4. 構造改革も行っており、資産運用会社に関する法案が上・下院を通過したほか、土地を銀行の担保として認めるための法案も下院を通過した。また、(1)電力、(2)労働、(3)法制度、(4)平和と秩序に焦点を当てた取組みも行っている。

2.東アジアにおけるフィリピン

  1. フィリピンは、今世紀最大の成長が期待される東アジアのハブとして自国を位置付けている。アジア太平洋地域の中心に位置する地理的要因のみならず、同地域へのサービス提供においてもハブとなることを目指している。例えば、情報通信分野では、先進的な教育、英語の習熟度、Eコマースにおける専門性などの評価が高いことから、世界的企業が多く進出している。

  2. WTO加盟後の中国は、フィリピンにとって物流サービス、製造業などの有望な市場となっている。中国のWTO加盟前は、フィリピンは3億ドルの貿易赤字であったが、加盟後は7億ドルの黒字となっている。

  3. 日本や中国、インドなどアジアの主要国がASEANとのFTAに関心を示していることは統合市場形成への励みとなる。

3.わが国への期待

  1. 日本はフィリピンにとって2番目の貿易バートナーであるだけでなく、フィリピン向けODAの約60%を占めている。また、日本は世界第2の経済大国であるだけでなく、GDPも東アジア地域全体の50%以上を占めており、世界経済のエンジンとなることを期待している。

  2. 日本はASEANの信頼できるパートナーである。われわれは、日本が包括的経済連携構想を通じてASEANとの関係を深める努力を行っていることを評価している。

  3. 日本は、経済および人間の安全保障が保たれた地域社会をつくる上での重要なパートナーであり、このビジョンの実現に向け、日本の経済界は大きな役割を担っている。

《担当:国際協力本部》

くりっぷ No.12 目次日本語のホームページ