経済くりっぷ No.20 (2003年5月13日)

4月17日/労使関係委員会政策部会(部会長 川合正矩氏)

今後のパートタイム労働対策の方向について


労使関係委員会政策部会では、非正規従業員の人事・賃金管理の検討を行っている。その一環として今回、厚生労働省雇用均等・児童家庭局の内野淳子 短時間・在宅労働課長から、労働政策審議会雇用均等分科会が3月18日にまとめた「今後のパートタイム労働対策の方向について」の説明をきくとともに、意見交換を行った。

I.内野課長説明要旨

1.パートタイム労働者の現状

パートタイム労働者とは、総務省の労働力調査では1週間の就業時間が35時間未満の労働者が対象となる。2001年では1,200万人を超えており、男女あわせると、短時間労働者は雇用者総数のうち2割を超えており、1981年と比べると、約3倍になっている。

2.雇用均等分科会報告の骨子

「働きに応じた公正な処遇」の実現に向け、パートタイム労働法に基づいて定められている「事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等のための措置に関する指針」に、以下のことを規定すべきというのが今回の報告の趣旨である。なお、報告にある「通常の労働者」とは、継続的な雇用関係を前提としているいわゆる正社員を指す。

  1. パートタイム労働者から、本人に係る処遇について説明を求められたときは、求めに応じ説明したり、パートタイム労働者の意見をきくため、関係労使の話し合いその他の適当な方法を工夫したりするなど、通常の労働者とパートタイム労働者との間の公正な処遇を実現するための労使の自主的な取組みを推進する。

  2. パート労働者は、5年、10年勤めてもあまり評価されないことがあるので、職務の内容、意欲、能力、経験、成果等に応じて処遇するための措置を実施する。

  3. 企業側のニーズと労働者側のニーズが合致する場合には、通常の労働者への転換に関する条件を整備する。

  4. 職務が通常の労働者と同じパートタイム労働者の取扱いは、通常の労働者との差異が明らかでない同様の実態にあるといえるパートタイム労働者については、両者の処遇の決定方式を合わせる等をした上で意欲、能力、経験、成果等に応じて処遇することにより、均衡を確保する。また、人材活用等の仕組みが通常の労働者とは異なるパートタイム労働者については、意欲、能力、経験、成果等に応じて処遇するための措置等を講じ、両者の間の均衡を考慮する。
    なお、職務が同じかどうかは、企業の実態に即して考える必要がある。長期的な人材育成の観点、その職務における能力、経験、成果などでも総合的に評価すべきである。

II.日本経団連側発言要旨

正規従業員の賃金が下方硬直的になっている中では、正規従業員の賃金水準をパート労働者にあわせることも必要になる。

《担当:労働政策本部》

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