経済くりっぷ No.22 (2003年6月10日)

5月13日/サブサハラ地域委員会(委員長 安崎 暁氏)

民間部門の活用による開発、発展を推進するセネガル

−ワッド セネガル大統領と懇談


ワッド大統領

セネガル共和国からワッド大統領一行が来日したのを機に、セネガルの経済状況や投資環境について説明をきいた。当日は、セネガル側から大統領はじめニアン投資・公共投資促進機構長官ほか18名が、日本経団連側からは、安崎委員長ほか21名が出席した。

I.セネガル側発言要旨

(1) セネガルは西アフリカの模範生

主力の農業、漁業、観光業は順調に成長しており、1994年以来、平均5%の高い経済成長と2%未満の低いインフレ率を実現している。セネガルは平和と治安を維持し、寛容かつ勤勉な国民性と、豊富で質の高い労働力を持っている。また世界銀行や米国格付機関などによる評価も高く、西アフリカの模範国である。

(2) 開発、発展は民間部門の活用が鍵

セネガルは、NEPAD(アフリカ開発のための新パートナーシップ)において、先進国政府による支援から、民間部門を活用した国の開発、経済発展の重要性を提唱し、2000年より自ら実践している。外資に対しても市場を開放しており、外国投資は倍増している。西アフリカで最も外資を誘致できる国にするため、

  1. 民営化の推進、
  2. 空港、港湾、鉄道、通信関連などインフラの整備、
に力を入れている。具体的には現在、新空港の建設、鉄道事業の民営化、高速データ通信体制の整備を推進している。

(3) 鉄道事業と自動車開発への日本企業の参画を期待

周辺諸国に関わるものも含め、16,000kmの道路と鉄道が必要である。これに関連して、

  1. 車両の大型化、高速化のためのレール幅の標準化と「中古車両」を活用した鉄道事業、
  2. アフリカの厳しい環境に適した小型でタフな「アフリカン・カー」の開発構想、
がある。こうしたビジネスチャンスがあるので、日本企業の参画をぜひ検討してほしい。

II.意見交換(要旨)

日本経団連側:
合弁事業を行う場合、セネガル政府が合弁パートナーとなる可能性はあるか。
セネガル側:
原則としてはないが、空港や港湾など規模や重要度によってはありうる。基本的には、政府は、民間活動への直接介入をせず、セネガルと外国の民間企業によるジョイントベンチャー等が円滑に進むための枠組みをつくることを重視している。

日本経団連側:
優秀な人材が官庁に流れているようにみえるが、民間企業における人材は育っているのか。
セネガル側:
フランス植民地時代の官僚体制の影響で公務員の数が多かったが、適正レベルにまで減らした。他方、中等教育における英語教育(公用語はフランス語)にも注力しており、高等教育を北米で受け、帰国後、民間企業で活躍する人材も増えている。失業率の水準は依然として高いが、働く意欲のある人材は多く、これを活かすための手段を開拓していきたい。
《担当:国際経済本部》

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