7月1日/社会保障委員会(委員長 西室泰三氏)
次期年金制度改正に向けて議論が活発化する中、社会保障審議会にて「今後の社会保障改革の方向性に関する意見」が取りまとめられた。社会保障委員会では、厚生労働省の青柳親房 政策統括官付参事官よりこの概要をきくとともに、水上孝 企業年金国民年金基金課基金数理室長より9月から適用されるキャッシュバランスプランの設計基準の暖和について説明をきいた。
社会保障審議会は6月、「今後の社会保障改革の方向性に関する意見」を取りまとめた。これは、現在、高齢者への給付が高い日本の社会保障制度を、働きざかりの世代に対する子育て、教育への給付にシフトさせようというものである。幅広い世代で能力に応じて公平に負担し、一人の生涯を通じてライフコースに応じた給付とすることを提案している。
2025年度の社会保障負担は対国民所得比で32.5%と見込まれ、負担可能な水準と考える。家計においても、勤労者世帯の保険料水準は事業主負担分を含めて30%程度と見込まれ、預貯金も可能である。社会保障は負担率のみ考えると必要なセーフティネットとならず、負担率を考えないと持続不可能な制度となってしまう。出生率低下に歯止めをかけ、高齢者・女性の支え手を増やすことで、給付と負担の両立が可能となる。
今回の「意見」は、制度横断的な検討のいわば予告編である。年金、医療、介護、低所得者対策など、制度間の給付の総合化が必要である。高齢社会、多様な働き方、次世代育成の支援に向けた施策を一体化することで総合的な対応が可能となる、いわば厚生労働省版の三位一体の対策と考えている。
キャッシュバランスプランはハイブリッド型の企業年金の一つで、確定拠出型の特徴を持つが、あくまで確定給付型である。勤続年数や給与に比例して給付額を定める従来型の確定給付とは違って、その都度の国債の利回り等、あらかじめ約束したルールに従って、経済の状況に合った利息を約束する。
このたび、キャッシュバランスプランの普及のため、設計基準が緩和されることとなった(9月適用)。改定点は以下の通り。