経済くりっぷ No.25 (2003年7月22日)

7月4日/国土・都市政策委員会地方振興部会(部会長 新町敏行氏)

「癒しの町」八郷へようこそ

−茨城県八郷町におけるグリーンツーリズム、体験型観光への取組み


茨城県八郷(やさと)町では、その豊かな自然環境を活かし、農業体験等のグリーンツーリズムを推進することで地域の活性化を図っている。同町の取組みについて、茨城県観光協会公認ふるさと観光アドバイザーの鈴木俊勝氏、茨城県森林審議会の木崎眞会長、八郷町役場の谷島重洋商工観光課長、JAやさとの柴山進対外対策室長より説明をきいた。

I.八郷町における取組み

2000年10月の経団連(当時)による「21世紀のわが国観光のあり方に関する提言」でも指摘されていた通り、今日、グリーンツーリズムが注目を集めており、八郷町でも積極的に推進している。
首都近郊の八郷町に豊かな山林が残っているということは奇跡である。しかしながら、同町でも輸入木材の増加によって林業は廃れる一方である。後継者も皆無である。そこで山林を保存しつつ、新たな地域振興を図る手段としてグリーンツーリズムに力を入れている。森林浴で身も心もリフレッシュできる、しかも東京からのアクセスもよいということで、潜在的な需要は大きいと確信している。欧州ではグリーンツーリズムが生活の一部となっており、わが国でも、普及させていきたい。
JAやさとも、農業体験プログラムを企画するなど、グリーンツーリズムの推進に主導的な役割を果たしている。国の補助金を活用して農業体験の受入れに必要な最低限度の施設をつくり、田植、農家での生活体験、畜産センターでの食肉加工体験等のプログラムを実施している。ここ数年は民間旅行会社との連携によって都立高校の野外研修はじめ首都近郊からの団体を常時受け入れている。自然豊かな八郷町での農業体験を通じて、農業が環境や景観の保護の上で果たしている役割を理解していただくと同時に、国産の農産物の「応援団」を増やしていくことができればと考えている。

II.日本経団連側発言要旨

JAが率先してグリーンツーリズムに取り組んでいることを大いに歓迎したい。このような取組みが、わが国農業の実情を理解する一つの契機となることを期待する。
今後は、観光による地域の活性化を図るべく、町民全体の努力が必要である。たとえば、訪問者に地元の民家に宿泊してもらう「民泊」によって、観光客誘致に成功している例もあり、町民が競って観光客をもてなす気運をつくっていくべきである。加えて、周辺自治体間の広域的な連携を通じて、グリーンツーリズムを「面的」に普及させてはどうか。
八郷町は首都圏から近く、観光資源が豊富であるにも関わらず、あまり知られていない。広報・宣伝活動も重要である。たとえば、パンフレット一つで、グリーンツーリズムの申込先、値段、受けられるサービス等が一目瞭然となるよう工夫してはどうか。

《担当:産業本部》

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