経済くりっぷ No.26 (2003年8月12日)

7月14日/日本メキシコ経済委員会2003年度総会(委員長 塙 義一氏)

日墨双方にとってメリットのある経済連携協定を強く望む

−デイカサ駐日メキシコ大使よりきく


日本メキシコ経済委員会では2003年度総会を開催し、2002年度事業報告・収支決算、2003年度事業計画・収支予算を、原案通り承認した。当日は、審議に先立ち、カルロス・デイカサ駐日メキシコ大使より、日墨経済関係の現状と展望、ならびに現在政府間交渉中の日墨経済連携協定(EPA)について説明をきいた。

I.デイカサ大使説明要旨

1.メキシコ経済の現状について

世界銀行の統計によれば、メキシコは、ラ米諸国中最大の貿易総額(3,300億ドル)を誇る。経済規模では、ラ米諸国中第1位、世界第9位である。今年のインフレ率の目標値は3%と抑制されている。昨年は、世界経済の不調により、メキシコの証券市場は振るわなかったが、今年前半にはドル建てで16.6%の利回りを記録した。世界の格付け機関はメキシコ債権を投資適格としており、カントリーリスクも低い。

2.日墨関係について

両国関係は良好で、相互補完的、戦略的関係が強化されつつある。日本の優れた産業・先端技術と、メキシコの誇る立地、経済成長、FTAネットワークなどのメリットを組み合わせることが重要である。日本企業はメキシコ経済の発展に多大の貢献をしてきた。現在、メキシコでは400社の日本企業が、13万5千人を雇用し、新技術、経営ノウハウ、生産スキームをもたらしている。

3.日墨EPAの早期締結を望む

北米2国を除けば、日本はメキシコ最大の貿易相手国だが、その潜在力からみて、将来、一層の発展の余地が残されている。メキシコが世界30ヵ国以上とFTA (自由貿易協定)を締結する中で、メキシコの輸出総額に占める日本のシェアは、1.6%(1994年)から0.3%(2001年)まで低下した。また、同期間のメキシコへのFDI(外国からの直接投資)全体に占める日本のシェアは3.3%と、米国の66.6%、EUの19.0%と比べて非常に少ない。
現在交渉中の日墨EPAは、こうした停滞状況を打破する起爆剤となるだろう。交渉に際して、双方が例外品目を設けない努力をすべきである。昨年10月、メキシコのロス・カボスで開催された第10回APEC会合後に両国首脳が交したコミットメントを尊重し、本年10月に予定されているフォックス大統領の訪日の際、日墨EPAが実質合意に至ることを強く望んでいる。なお、フォックス大統領は、第26回日墨経済協議会(10月14日 東京)への出席を検討している。

II.意見交換(要旨)

日本経団連側:
  1. 日墨EPAの交渉状況はどうか。
  2. 貴国とEUのFTAの効果はどうか。

デイカサ大使:
  1. 交渉は、非常に友好的に進んでいると聞いており、できるだけ包括的なものにする必要があると思う。
  2. EUからメキシコへの輸出の増加により、貿易は急拡大したが、バランスを欠いている。日墨EPAでは対日輸出の増加など、メキシコにとってもメリットがなければならない。

【ご参考】
日墨経済連携協定の早期締結を求める (2003年8月5日)
《担当:国際経済本部》

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