経済くりっぷ No.26 (2003年8月12日)

7月18日/日本ベトナム経済委員会2003年度総会(委員長 宮原賢次氏)

日越経済関係の現状と将来展望


日本ベトナム経済委員会では、2003年度総会を開催し、2002年度事業報告・収支決算、2003年度事業計画・収支予算を、原案通り承認した。当日は、審議に先立ち、経済産業省大臣官房の成瀬茂夫企画官から、「日越経済関係の現状と将来展望」と題する説明をきいた。

I.成瀬企画官説明要旨

1.日越関係の現状

2000年-2002年の実績を見ると、日本はベトナムにとって3年連続で最大の貿易相手国である。日本からの投資は、認可ベースでは第3位、実行ベースでは第1位であるが、他の東アジア諸国向け投資と比べると、投資額は非常に少ない。経済協力面では、日本はベトナムに対する第1位のODA供与国であり、日本政府はベトナムに対する支援を重要視している。また、ベトナムへの日本人渡航者は、特に若い女性ならびに中高年層が急速に増加しており、2002年は1999年対比で約3倍増の30万人となった。

2.日越経済関係の基本的考え方と将来展望

ベトナムは、人口が8,000万人と多く、その約半分が35歳以下であることから、低廉かつ優秀な労働力の確保、マーケット確保の両方の観点で有望である。地理的にもアジアの中心に位置し、東南アジア、中国に近く、ロジスティックス面でも有利である。一方で、知的財産権を保護する制度づくりや取締り強化、裾野産業の育成が課題と考えられる。
今年4月のカイ首相来日時、日越投資協定が小泉首相との首脳会談で基本合意し、年内の合意、批准を目指している。レベルの高い協定であり、日・ASEA N包括的経済連携構想の、日越二国間の取り組みにおける具体的な第一歩と位置付けられる。
ベトナム政府は、インフラ整備、二重価格の是正等、投資環境整備に向けて非常に前向きに取り組んでおり、大きな改善が見られる。長期的な観点から、ベトナムの今後の急速な経済成長を確信しており、投資先として大いに検討に値すると思う。韓国、中国、米国企業もベトナム投資を活発化している。日系企業は最近、中国への投資を加速させる一方、バランスをとる必要から、ASEAN、特にその中でも、中国に隣接し、急速な発展途上にあるベトナムを重視しているが、日本国内におけるベトナムに対する認識は、その魅力から見てまだ十分でない。

II.意見交換(要旨)

日本経団連側:
ベトナムにおける、ソフトウエア開発分野の見通しはいかがか。
成瀬企画官:
ベトナムのソフトウエア人材に対する評価は高い。今後、日本語教育も併せて行っていくことが課題であろう。

日本経団連側:
バイク部品、自動車の生産制限のような突然の政策変更に対し、昨年の合同経済会議で改善を申し入れたが、その後の状況はどうか。
成瀬企画官:
今後も、引き続き要望していく必要があると考えている。
《担当:国際経済本部》

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