8月27日/電子CP発行に関するセミナー
金融制度委員会資本市場部会(部会長:島崎憲明氏)では、「電子CP発行に関するセミナー」を開催し、本年3月31日に解禁された電子CPに関して、実務関係者から説明をきいた。当日は、CP発行企業を中心に100社以上の出席を得て、電子CPの効果ならびに実務内容等について理解を深めた。
日本経済の厳しさに配慮し、日銀は、短期金融市場に潤沢な資金供給を続けており、短期金利は「ゼロ金利」という極めて低い水準にある。これを受けて、CP発行金利も、2001年以降0.1%〜0.2%の低水準である。
CPの発行残高については、過去1〜2年は緩やかに増加しており、現在の残高は約15兆円と推定される。
CPオペについては、1989年開始後、オペ対象を拡大し、買入残高も増やしてきた。電子CPについても、今年3月には適格担保化し、6月には現先オペの対象とした。現在、CPの買入残高は2.7兆円であり、電子CPも約700億円買入れている。今後も、電子CP市場の魅力を高め、より多くの参加者が得られるように、日本銀行としても側面支援していきたい。
CPの電子化のメリットとしては、(1)券面受渡しの不要化による、地方の発行体・投資家の利便性向上、(2)決済日程短縮(取引日翌日もしくは当日決済)による、日々の資金管理の高度化、が挙げられる。
手形CPの印紙税軽減措置が来年3月末で終了する可能性があり、CP発行会社は、電子CPへの移行準備を進めていくことが望ましいと思う。
活発な活用により、電子CPが使い勝手のよいものに育っていくことを期待している。
当社で発行しているCPの7割以上が、発行代理人等を置かない、相対での直接発行によるものである。
電子CPの発行に際しては、振替端末の設置から総合テストまで、概ね3ヵ月の準備期間をかけた。
発行権限は、代表執行役に委任し、発行実務は、代表執行役の決定と内部規定で動かしている。
直接発行における、電子CPと手形CPのコストを比較すると、証券決済コストについては、電子CPは手形CPより低いのに対し、資金決済コストの面では、電子CPは手形CPと同じか高い。
電子CPは、資金決済の面では若干コストアップであるものの、午前9時台には着金されるため資金効率が高く、その他人件費の効率化等も考えるとコスト増分は十分吸収可能である。なお、償還事務の負担軽減のため、支払代理人を置くことを検討中である。
発行支払代理人が選任された場合、端末の入力・確認・照合等の作業は、発行代理人が行う。償還請求も支払代理人が受ける。このようなサービスの利用により、発行企業の事務負担は軽減される。
発行支払代理人は、複数のお客さまから事務を受託しており、人とシステムの稼働率が高く、1つのオペレーションあたりのコストが低い。
振替制度参加の事前準備として、資金決済会社への事前連絡、代理人契約の締結、ディーラー契約の締結等について、金融機関との事前相談が必要である。代理人を利用しない(端末接続する)場合は、加えて、パソコン、通信回線の準備が必要である。
制度利用開始までの日数は、端末接続する場合は3週間、しない場合は1週間程度である。
また、災害・障害に備えて十分な準備をしている。東京の正センターでは、ハードウェア等を二重化し、大阪にはバックアップセンターを設置している。この他、さまざまな障害を想定し、事務処理の手順を整備している。