2月23日/コフィー・アナン国連事務総長との懇談会(司会 奥田碩会長)

アナン国連事務総長

「国連グローバル・コンパクト(GC)」への日本企業の更なる参加を期待

−アナン国連事務総長と懇談


Introduction
外務省賓客として来日したコフィー・アナン国連事務総長を招き、最近の国連の主要課題や、国連が推進する民間企業との持続可能な成長実現に向けた連携への取り組み(「国連GC」)について説明をきくとともに率直な意見交換を行った。

I.奥田会長発言要旨

同時多発テロ以降、国際テロなどに対処する上での国連の役割や、イラク戦争の経験を踏まえ、世界の平和と安全を維持するための安全保障理事会の役割など、わが国においても国連の役割とわが国の果たすべき役割についての関心が高まっている。イラク復興支援をはじめ、国連が現在直面している諸問題についてアナン事務総長の率直なお考えを伺いたい。

II.アナン事務総長発言要旨

  1. 昨年はイラク戦争もあり、困難な一年であった。この戦争に関する議論から、国際社会が直面している新たな課題や、それに対応する上での国連システムの能力が問われるようになった。国際テロや大量破壊兵器の問題、貧困、飢餓、疫病対策など、21世紀に国際社会が直面するグローバルな諸課題を国連が最も効果的に解決する機関となるよう早急に国連改革を進めなければならない。
    そのため、私は昨年11月にハイレベル・パネルを設置し、現在、われわれが直面している脅威に対処する上での既存の政策、機関の有効性を検証し、変革のための大胆な提案を行うこととしている。また、ミレニアム開発目標の経済、社会開発の諸課題に対する世界の首脳の関心はイラク戦争により薄れてしまったので、国連として再び注力する必要がある。

  2. 国連GCは、グローバル市場が共通の価値観と責任ある企業行動を共有しない限り、世界経済はぜい弱なものになるという懸念から、私が5年前に提唱した。
    GCの基本目的は、各国政府がすでに認めている環境、人権、労働基準に関する9つの国際原則を支持する世界的な枠組みをつくること、国際社会が直面している諸問題の解決における企業の役割を示すこと、社会の他のステークホルダーと企業との協調の方策を探ることである。
    現在は、世界70ヵ国以上から、1,200社を超える企業がGCに参加している。日本からは、現在14社の参加を得ているが、日本経団連の協力を得て更なる数の日本企業が参加することを期待する。
    日本のビジネス・リーダーに適した取り組みを示し、内外の経済団体や企業責任を推進する組織との連携を進める役割を果たすことを目指し、昨年12月に国連GCジャパン・ネットワークが設立された。
    日本企業をはじめとする諸ステークホルダーの積極的な参加により、GCは、企業市民活動を世界で促進することに貢献し、それによりグローバル化の恩恵を、貧困地域を含む全世界の国々が共有できるようになると信ずる。

《担当:国際経済本部》

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