- 第2次経済発展5カ年計画について
タヘリプール計画予算庁マクロ経済局長

タヘリプール局長
規制緩和、市場の自由化、補助金の撤廃等を柱とした第1次経済発展5カ年計画(1989年〜1994年)は、民間支出の増加、非石油産業の活性化をもたらし、イラン・イラク戦争中、減少傾向にあったGDP伸び率を平均7.3%へと好転させた。また人口増加抑制策により人口増加率が減少し、国民の社会福祉レベルも向上するなど大きな成果を得た。ただし、原油価格の暴落が過剰流動性を引き起こし、インフレーションの高進を招来した。
これらの経験を踏まえ、第2次経済発展5カ年計画を立案した。同計画では、
- 債務構造の転換による対外債務返済、
- 適切な金融政策、
- 規制緩和、
- 民営化の推進、
- 為替レートの安定化、
- テヘラン株式市場の活性化および内外の資本市場の有効利用、
- 製造業・サービス業の競争促進、
- 進行中のプロジェクトの再審査、
- エネルギー消費量抑制のための水道・電気・通信料金の値上げと補助金撤廃、
などを主要な政策として掲げている。
これら政策を遂行するために、実行可能な範囲で目標値をそれぞれ設定した。
- イランの投資環境と投資政策
モルタザビ大蔵・経済省投資担当局長

モルタザビ局長
経済発展を遂げるには、海外からの民間直接投資が不可欠だと認識している。このため、第2次5カ年計画では、民間主導型の経済政策を進めていく。
イランは、恵まれた地理的条件、質が高く低コストの労働力、税制面での優遇措置、など他国に劣らない投資環境が整備されている国だと自負する。
例えば、制度の面では外国資本保護法が1955年に制定され、
- 配当金の送金の自由、
- 本国への元利償還の自由、
- 収用に対しての適切なる補償、
- 外資の内国民待遇、
などが保証されている。
また、税制の面では、
- 安価な法人課税(10%)、
- 小・中規模の住宅建設プロジェクトや農業分野に対する税の控除、
- 新規産業に対する2〜3年の税の控除、
- 製品輸出に対する100%の税の控除
などが外資系企業にも適用されている。鑑みれば1980年代以降、日本の対イラン直接投資は停滞しているが、今次の第2次5カ年計画を機に日本企業の積極的な直接投資を期待している。
- イランのエネルギー開発
ガニミ・ファルド国営石油公社国際部長

ガニミ部長
第2次経済発展5カ年計画では、エネルギー分野について
- 原油輸出を安定的に増加させるため国内のエネルギー消費量に占める原油の比率を減らし、原子力発電・水力発電・石炭などの代替エネルギーの開発に取り組む、
- 石油精製によって生じた残余物を有効利用する、
- エネルギーの生産、消費が環境に与える影響を調査する、
- 天然ガス開発促進のため、探査機能を向上させる、
- ガス・ステーションや石油商品の道路輸送を含むエネルギー流通システムの民営化を促進する、
などの項目が盛り込まれている。
これら政策を実現するために、石油・ガス部門および石油化学産業などエネルギー各分野では生産、輸出、関連インフラの整備などについてそれぞれ目標値を定めたところである。
- イランの債務状況と返済計画
ニアジ中央銀行顧問

ニアジ顧問
対外債務については、中央銀行を中心に債権国との交渉が続けられており、現段階では債務の90%についてリスケジュールが合意されている。残りの10%は、ほとんどが小口債権者に対するもので、これらについても返済期間・金利などの条件について各国の銀行と交渉を進めている。日本の債権者に対しても責任を持って対応していきたい。
第2次経済発展5カ年計画では、政府支出726億ドルのうち80億ドルを債務返済に割り当てる予定だ。1998年の時点で対外債務が250億ドルを超えないように努力するつもりである。
1995年度の予算では、進行中のプロジェクトを完成させるべく、特に配慮している。