第116回景気動向専門部会(司会 遠藤理財部長)/4月5日

景気回復に広がり


景気動向専門部会では、最近の経済動向について関係省庁および日本銀行より説明を聴取するとともに、意見交換を行なった。景気の回復は依然として緩やかであるが、懸念されてきた雇用動向や中小企業とりわけ非製造業の企業収益および設備投資などにも明るい兆しが現れるなど、景気回復の裾野は徐々に広がりつつある。以下は、懇談の概要である。

  1. 強まりつつある自律的な回復への動き
  2. 公共投資、住宅投資など政策関連需要に加え、個人消費、設備投資とも全般的に回復に向かっている。機械受注の民需(船舶・電力を除く)は昨年10月以降、1兆円を超える高水準で推移している。また、回復が遅れていた中小企業とりわけ非製造業についても企業収益及び設備投資に改善の兆しが現れている。雇用情勢は依然厳しいが、雇用者数が堅調に増加し、2月の完全失業率が4カ月ぶりに低下し3.3%となるなど明るさも見られ始めている。
    こうした中、景気動向指数は設備投資や生産の増加基調などを受け、1月は先行指数が80.0%、一致指数が100%と10月以ともに4カ月連続して50%を超えた。
    このように景気回復を示す指標に広がりがみられるなど、わが国経済の自律的回復に向けた動きは次第に強まっている。一方、欧米経済の減速や地方財政の悪化に伴う地方自治体の公共事業の動向など懸念材料も残っている。特に昨秋の経済対策の効果が減衰する下期以降の景気動向については、依然として不透明である。

  3. 為替、株価、地価の展望
    1. 円相場は当面、低金利の維持、日米の貿易不均衡の縮小傾向等により大きな流れとしては現在のドル高・円安傾向を当面維持していくとみられる。ただし、96年度後半以降については日本の貿易黒字の急速な減少基調が継続せず、緩やかなドル安・円高に向かうとの見方もある。

    2. 株式市場は景気回復、企業の業績回復、円安、低金利、金融不安の後退などを背景に4月1日に日経平均株価がバブル崩壊後の戻り高値を更新した。特に、4月に入り、銀行、生損保が買い越しに転じたことが、市場を勇気づけている。今後、株式市場は2万5,000円を試す展開も予想される。
      しかし、低金利政策の変更をきっかけとする長期金利の急上昇への不安、年度下期の景気減速への不安など懸念材料もある。

    3. 商業地の地価は総じて下落傾向にあるが、土地の期待収益率が回復し、買い手が多少現れてきた地域も一部にある。来年の公示地価は下げ止まる地域とそうでない地域で斑模様になるとの見方が出された。
      一方、住宅地の地価については、分譲住宅を中心に活況を呈しているが、農地から宅地への転用という新規の供給圧力をこなすだけの需要はなく、今後も下落していくとの見方もある。


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