根上団長
「シルクロード21」の距離は、中国連雲港から新疆、カザフスタン、ロシアを経てロッテルダムにまで至る約11,000kmである。そのうち4,131kmが中国国内を通り、沿線区域は国土の37%、全人口の3分の1を占めることから、沿線区域の開発が国内経済に与える影響は多大である。
そのため、中国政府は沿線区域の開発計画ガイドラインを作成し、第9次5カ年計画に盛り込んだ。
「シルクロード21」沿線の開発は、第1に国際的協力体制に基づいたインフラの整備と効率的運営の確保、第2に貿易・投資環境の整備、第3に雇用機会の創出による貧困の撲滅および環境との調和が要となる。国際開発機関および先進国の協力が不可欠である。
インフラの整備は、東西交流を促進する上で最も重要であるが、あくまでもマーケットベースで進められるべきである。BOT(ビルト・オペレート・トランスファー)方式の活用も考えられる。
沿線区域の協力促進のためには、各国が法的枠組みを整備し、共通のルールに基づいた多国間貿易体制を構築することが必要である。その意味で重要な役割を担っているWTOに中国が早く加盟することを願っている。
通信網の整備は、「シルクロード21」を多機能な東西交流のパイプにするうえで不可欠である。残念ながら、WTOの電気通信分野における自由化交渉は先送りになったが、来年2月のデッドラインまで粘り強く調整を行なっていくつもりだ。
EUは、中国の持続的発展のために長期的観点から支援していく方針だ。具体的には、人材開発、民間交流の促進、環境保全、経済・社会・法律面での改革、貧困撲滅などの面で協力を行なっていく。経済発展の障害となりうる環境破壊については、特に力を入れていきたい。