経団連くりっぷ No.37 (1996年 7月25日)

社会貢献推進委員会(委員長 椎名武雄氏)/7月12日

企業の社会貢献活動の状況について報告


社会貢献推進委員会では、6月に発刊した「社会貢献白書1996」を披露し、「1995年度社会貢献活動実績調査(案)」について審議するとともに、専門部会・研究会の活動状況について報告した。また、1%クラブの活動状況、阪神・淡路大震災救援活動に際して経団連会員企業から寄せられた義援金の使途についても報告を行なった。

  1. 企業の社会貢献活動について
    −椎名武雄社会貢献推進委員長
  2. 椎名委員長

    最近の社会貢献活動は、企業が何か貢献させていただくというようなものから、企業が積極的に社会に参加し、かつ社会参加を行なう社員を応援するというものに変わってきている。社会貢献活動の成果を上げるためには、企業がその持てるリソースを活用することが重要である。
    NPO(非営利団体)法案の国会提出が見送りになったが、望ましい法案ができるように見守っていきたい。企業・行政・NPO相互の良い関係を築くためには、行政の介入がない、自由な関係が好ましい。

  3. 「社会貢献白書1996」・「1995年度社会貢献活動実績調査」について
    −椎名武雄社会貢献推進委員長
  4. 「社会貢献白書」は、4年ぶりの刊行になる。企業の社会貢献活動について網羅的に取りあげたものは他にないということで大変注目を集めている。白書は、毎年実施している実績調査がベースとなっている。社会貢献活動への支出額は約4億、経常利益比は3%台を維持している。また、ボランティア等をサポートする制度の導入も増加している。不況下にもかかわらず、企業は地道に社会貢献活動を継続している。最近の特徴は、企業が活動の重点分野を定めて活動に取り組むようになり、活動がバラエティに富んできたことである。
    今回の「社会貢献活動実績調査」では、95年度の実績を調べることになるが、対象は経団連会員企業および1%クラブ法人会員の合計約1,000 社である。調査結果については、11月以降に開催する社会貢献推進委員会および1%クラブの会合で報告する。

  5. 専門部会・研究会の活動状況
    1. 青木利元社会貢献基盤整備専門部会長
    2. 当部会では、部会に設けた2つの研究会で精力的に活動を行なっている。また、部会では、企業と非営利団体との中間組織として設立が検討されているNPO情報センター(仮称)の構想について検討を行なってきた。

    3. 堀越秀憲将来展望研究会座長
    4. 研究会の発足以来、社会貢献活動に関する中長期計画の策定、企業とNPOとの望ましい関係、研究会参加各社の特徴的な活動事例等について研究するとともに、社会貢献活動の現状と展望等について意見交換を行なってきた。

    5. 赤松啓次郎社会貢献制度研究会座長
    6. 当研究会では、ボランティア団体やNGOなどに法人格を付与するなど、市民活動を支援するための法律として立法が検討されているNPO法案について、国会議員や市民団体の代表等を招いてヒアリングを行ない、検討を続けてきた。今後も法案の動向を見守りながら検討を継続する。

    7. 島田京子ボランティア専門部会長
    8. 学校教育現場におけるボランティア活動、地元の社会福祉協議会と企業が連携した活動事例、ボランティアの観点からとらえたシニア世代の社会参加、企業人OBボランティアの推進状況等についてヒアリングと意見交換を行なった。

    9. 土井智生社会貢献情報交流専門部会長
    10. 当部会は、高齢者福祉の問題に焦点をあて、とりわけ大きな議論となっている「公的介護保険」について、厚生省の担当者から制度の概要についてヒアリングを行ない、さらに、医療・福祉、経済問題、介護と女性の関わりの観点から専門家を招き、ヒアリングを実施した。

  6. 1%クラブの概況
    −若原泰之1%クラブ会長
    1. 当クラブの会員数は、個人会員が当初目標の1,000名を越え、法人会員も268社に増え、着実に活動の輪が広がっている。また、当クラブの活動をさらに充実させるために、この3月に開催した世話人会において新たに9名の方に世話人として加わっていただき、20名体制でクラブの運営を行なっていく。

    2. 1%クラブの活動をより多くの方に理解していただくために、企業人を対象に、社内だけでなく、広く社会に目を向けた生き方の大切さについて考えていただく場として、「会社からそとをみる・そとから会社をみる・自分をみる」と題した講演ならびにトークインの集いを6月に開催した。今後も、9月に会員懇親会、11月にはチャリティ・フェスティバルの開催を予定している。

  7. 阪神・淡路大震災義援金の使途について
    −椎名武雄社会貢献推進委員長
  8. 阪神・淡路大震災の救援活動に際して、1億2,000万円の義援金を経団連あてにいただいた。義援金のうち、免税証明が必要なものは日本赤十字社に寄託し、残りの約7,000万円を、当初は震災復興に当たるボランティア団体の支援に使わせていただき、その後は現地で活躍する市民グループの活動支援として使わせていただいた。

  9. その他
    1. 企業とNGO、ボランティア団体等のNPOとをつなぐ中間組織として、設立が検討されている「NPO情報センター(仮称)」について、設立呼びかけ人の山岡義典氏(プランニング・コンサルタント)から設立計画について説明を受けた。

    2. NPOと企業との協力関係について調査するミッションを、9月21〜28日にかけて派遣する。訪問先は、サンフランシスコ、ニューヨーク、ワシントンを予定している。ミッションの団長は、若原1%クラブ会長、団員は企業の社会貢献担当者を対象に10〜15名を予定している。


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