経団連くりっぷ No.42 (1996年10月24日)

経済5団体共催 サンテール欧州委員会委員長歓迎昼食会/10月3日

規制緩和は日・EU関係のさらなる発展に重要


経団連は、日本商工会議所、日本経営者団体連盟、経済同友会、日本貿易会とともに、公賓として来日した欧州委員会のジャック・サンテール委員長歓迎昼食会を開催した。
以下はサンテール委員長の挨拶要旨である。


サンテール委員長
  1. 政府レベルでの日・EU協力は、マクロ経済政策、金融、規制緩和等々、非常に幅広い分野で進んでいる。民間経済界レベルでも、日・EU関係は徐々に改善している。私が特に重視しているのが、経団連等と、その欧州側のカウンターパートとの会合であり、これらは、双方のビジネスリーダーが相互理解を促進するためのよい機会となっている。過去において欧州の経済人は、対日ビジネスの可能性を過小評価してきた。その結果が、日・EUの投資インバランスの数字に顕著に表れている。しかしようやく、欧州の対日輸出が年間約20%と急増しはじめた。これは、欧州の経済人の考え方が変化しつつある事を示している。

  2. 今後、日・EU関係がさらに深化していくために重要なことの一つは、市場アクセスの改善である。特にEUにとっての関心事は、日本における規制である。EUは、これからも対日市場参入を阻んでいる規制の除去に重点を置く。今後の日本の規制緩和プロセスにおけるわれわれの目標は、短期的には、来年3月末までに、現行の規制緩和計画の最終的な見直し作業を進展させることである。長期的には、これまで築き上げてきた規制緩和へ向けての気運が、3カ年計画の後も継続するよう働きかけていくことである。規制緩和へ向けての協力は、双方向なものであることを強調したい。欧州委員会は市場統一計画に基づいて規制緩和を推進しているが、日本政府の提案を慎重に検討し、回答している。また、多くの提案については、実際に実行に移している。

  3. 日・EU関係は、それ自体が非常に重要なものであるが、一方で両者の緊密な関係は、多くの多国間協議の場における協力も促進している。その良い例がWTOにおける多国間自由貿易システム促進に向けた協力であり、これは双方にとっての利益となっている。ここ数年間に日・EU間で築き上げられた相互理解と信頼関係は、世界の利益に貢献するものであると同時に、日欧それぞれに利益をもたらし、さらに日欧間の絆を強める事に役立っている。日・EUはともに相互の利益のために異なる利害を乗り越えていく方途を探るために努力していく必要がある。


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