経団連くりっぷ No.61 (1997年 8月28日)

なびげーたー

創造的人材育成のための教育改革支援を

社会本部長 池 誠


創造的人材育成の必要性は政府・教育界でも強く認識されるようになっている。経団連としてもこのような動きを積極的に支援していきたい。

創造的人材育成協議会(会長:末松謙一さくら銀行相談役)では、昨年3月に、「創造的な人材の育成に向けて〜求められる教育改革と企業の行動〜」を発表し、経済界としてオープンエントリー制(公募制)や通年採用の導入、柔軟な処遇・評価制度の構築などを行なうとともに、教育界・行政に対しても教育分野における規制緩和とか大学入試の改革等を訴えた。同時に家庭の教育力を回復することも求めている。

その後当協議会では本年5月、企画部会(部会長:森本昌義ソニー上席常務)を新設し、提言のフォローアップならびに創造的人材育成の環境作りに資する具体的な方法について議論を行なっている。

企業の採用行動や社内における処遇制度も、グローバル化、情報化、少子・高齢化等の最近における企業環境の大きな変化に伴い、急速に変わって来ている。

たとえば、本年3月に行なった「企業の採用方法の変化と人材育成に対する意識調査結果」を見ても、オープンエントリー制(公募制)をすでに採用していると回答した企業は前回(95年10月)の41%にくらべ、今回は文系69.1%、理系54.1%と大幅に増加している。また社内公募制を導入している企業は43.3%(前回38.1%)となっている。

一方、政府においても総理の6大改革の1つに教育改革が取り上げられたこともあり、個性を重視した教育に改めようとしている。

中央教育審議会が本年6月に発表した第2次答申においては、第1次答申(96年7月発表、「ゆとり」の中で子供に「生きる力」を育むことを主張)に続いて、大学や高校の入学試験の改善とともに中高一貫教育の選択的導入や飛び入学制度の導入を求めている。

また教育関係者の間においても、何らかの形で教育改革を進め、時代の要請に応じた人材を育成しなければならないと真剣に検討が進められており、経団連としても、教育界からの要請に応じて創造的人材育成が必要であるという経団連の考えを説明してきている。

そこで企画部会としても、

  1. 会員企業が採用や処遇制度の改善を一層、進めるように働きかけるとともに企業のこうした変化を積極的に一般に広報する、
  2. 経済界として教育界の創造的人材育成への努力を支援していく、
  3. 教育にかかわる規制緩和を働きかける、
  4. 父親の家庭教育への参加を促すなど、家庭の教育力の回復に努める、
  5. ジョブインターン制度の積極的な導入などを通じて職業観を育てる教育を支援する、
  6. 教員の民間企業研修とか学校への社会人講師の派遣等を積極的に進める、
などを積極的に推進していきたいと考えている。


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