産業技術委員会大学問題ワーキング・グループ(主査 小野田 武氏)/4月27日
経済構造改革に関する「行動計画」等を受け、昨年来、通産省等では産学官の連携強化のため、大学等に蓄積された研究成果を産業界に円滑に移転・普及していくための枠組み作りを検討してきた。そこで大学問題ワーキング・グループ(主査:小野田 武 三菱化学専務取締役)では、通産省から「大学等技術移転促進法」について説明を聞くとともに、本件に関連して、東北大学の井口泰孝教授から、産学共同研究の促進を目的とした「東北大学・未来科学技術共同研究センター」について説明を聞き、懇談した。
米国ではバイ・ドール法の制定をはじめ、1980年代に大学から産業界への技術移転を促進する仕組みが整備されたことにより、スタンフォード大学等の研究大学の成果が活用され、これが新規産業創出の原動力となって、米国経済の再生に寄与した。
他方、わが国の大学には米国と比べ、研究資源の多くが集中しているが、その成果が産業界において十分に活用されてきたとは言い難い。そこでわが国でも、大学の研究成果を特許権化し、民間事業者がこれを新商品開発や生産等の形で企業化するとともに、その対価が大学におけるさらなる研究資金に充てられて新たな研究成果を産み出すという循環を創り出すことが重要である。
本法律は、特定大学技術移転事業に関する実施指針の策定および助成金の交付、研究成果を活用するベンチャー・中小企業に対する支援、国立大学等の成果を民間企業へ移転する事業に係る特許料等の特例、等が盛り込まれている(5月6日公布)。
大学が科学技術創造立国の中核としての役割を果たすため、
今後産学連携を進める上の問題点としては、新産業創出を目指した産業側と大学側の触れあう場がないこと、優秀な人材の多くが大企業にいるため、新しい産業の担い手が中小企業にいないこと等が挙げられる。