経団連くりっぷ No.83 (1998年7月23日)

ハイテク犯罪対策に関する説明会(進行 礒山情報通信委員会情報化部会長)/7月6日

バーミンガム・サミットとハイテク犯罪対策への取組みについて
警察庁五十嵐官房審議官より説明を聞く


情報通信ネットワークの普及は、産業の効率化や国民生活の質的向上をもたらす一方、新たにハイテク犯罪を増加させる懸念がある。本年5月のバーミンガム・サミットでも、ハイテク犯罪に対し各国が協力して対応する旨が合意された。そこで、去る7月6日に標記の会合を開催し、警察庁の五十嵐官房審議官より、ハイテク犯罪対策について説明を受けるとともに懇談した。以下は五十嵐官房審議官の説明要旨である。

  1. バーミンガム・サミットとハイテク犯罪
  2. 昨年12月にG8の司法・内閣閣僚級会合が開催され、ハイテク犯罪に関する10の原則と10の行動計画が採択された。そこでは、

    1. 国際ハイテク犯罪に関する24時間体制のコンタクトポイントを設けること、
    2. 訓練され装備された十分な人員が法執行機関に配置されること、
    3. ハイテク犯罪捜査促進のために法制度を見直すこと、
    4. 証拠の保全・収集を促進するため産業界と共同作業を行なうこと、
    等について合意された。本年5月のバーミンガム・サミットでは、この10の原則と行動計画を迅速に実施するとともに、次回サミットに進捗状況を報告することとされた。

  3. ハイテク犯罪の脅威と問題点
  4. 国防総省は、ハッカーから年間約25万件のアタックを受け、そのうち65%がシステムの内部まで侵入されたと見られている。セキュリティが確保されないままネットワークのオープン化が進むと、世界中から不正アクセスの攻撃にさらされることになる。
    こうしたハイテク犯罪への対策を講ずる上で、体制上の問題(高度な技術力が必要、24時間体制での国際捜査協力が必要)と、法制上の問題(わが国では不正アクセスが不可罰)がある。

  5. わが国のハイテク犯罪対策への取組み
  6. 警察庁では、以上のような状況に対処するため、本年6月に、ハイテク犯罪対策重点推進プログラムを策定し、次のような施策を推進することとしている。
    ハイテク犯罪に対する体制整備するため、警察庁に暗号解析、技術支援等を実施するナショナルセンター(HITEC)を設置するとともに、都道府県警察において、ハッカー対策班やサイバーテロ対策班が対応するなど専従捜査体制を確立する。
    また、法制面では、

    1. 不正アクセスに対する禁止処罰の適用、
    2. ID屋等の不正アクセスを助長する業務の規制、
    3. 不正アクセスを防止・捜査するための産業界との協力(ログの保存等)、
    を盛り込んだ不正アクセス対策法制の整備に関係省庁と一体となって取り組んでいく。


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