経団連くりっぷ No.105 (1999年7月8日)

第609回理事会/6月22日

暴力団・総会屋等への対策について

−反社会的勢力と決別を


多くの企業の株主総会を間近に控え、6月22日開催の理事会では、黒澤正和警察庁暴力団対策部長から暴力団・総会屋等への対策について聞いた。また、席上、今井会長から、総会屋等の反社会的勢力との関係遮断ならびに株主との実りあるコミュニケーションができる、開かれた株主総会の実現を改めて呼びかけた。

黒澤部長説明要旨

  1. 一昨年来、総会屋への利益供与事件が相次いで発覚した。政府では、いわゆる総会屋対策要綱を申し合わせるなど諸対策を打ち出し、官民一体となった取組みが開始された。その結果、総会屋勢力は大幅に減少し、株主総会への出席、発言も減少するなど一定の前進があった。

  2. しかし、総会屋問題は終わったわけではなく、各企業および関係機関の息が切れ、諸対策が中断されるような状況となれば、総会屋は息を吹き返し、企業を蝕み、健全な企業社会が保てなくなる。一部の総会屋にあっては、生き残りをかけ執拗に企業訪問を繰り返し、また、グループによる株付けを行なうなど企業に対し揺さぶりをかけながら、引き続きアプローチを図っている。総会屋に対する取組みは、腰を据えて永続的に行なう必要がある。

  3. 昭和56年、商法が改正(利益供与・受供与罪の創設。昭和57年施行)された際は、経済界においても、種々の対策がとられた。しかし、結局、総会屋と完全には決別できず、また関係を遮断しながらも復活を許してしまった。今度こそ前車の轍を踏まぬよう、総会屋を根絶するための息の長い取組みをお願いしたい。

  4. 暴力団等、総会屋以外の反社会的勢力も昭和50年代頃から次第に表の経済社会を侵食するようになってきた。バブル経済崩壊後の現在も、暴力団は、姿、形を変え、企業に警戒心を抱かせない外観を整え、話題や取引材料を準備して接近し、様々な手口で資金獲得を図っている。全国暴力追放運動推進センターのアンケート調査でも、最近1年間に数十社が暴力団等から被害を受けたことが明らかとなっている。彼らに金品を渡せば、平和な市民社会を脅かす勢力に企業も加担したことになってしまう。

  5. 企業トップは、反社会的勢力と決別する決意を新たにした上で、その姿勢、意思を社内外に見えるよう具体的な形で示し、息長く反社会的勢力と対決していただきたい。われわれとしても、反社会的勢力の組織犯罪対策を目下の治安の最重要課題の一つと捉え、不法事案の徹底検挙を図りつつ、企業との連携を一層密にし、企業に対する支援を進め、反社会的勢力の排除に最善を尽くす所存である。


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