財政制度委員会 企画部会(部会長 中原 眞氏)/10月1日
財政制度委員会企画部会では、10月1日、大蔵省主計局の細溝清史主計官(地方財政担当)から、国の立場からみた地方財政について話をきくとともに懇談した。
国と地方の一般歳出の対GDP比を見ると、地方はピーク時の昭和55年度の水準に近付いているが、国はシーリングの影響もあり、この水準にまでは至っていない。
歳出項目の内訳をみると、地方では、給与関係経費(26.7%)、投資的経費(34.4%)のシェアが国に比べて高い。中でも、地方単独の投資的経費は、昭和50年代には国の公共事業関係費とほぼ同水準であったものが、2倍に増えている。
他方、全体の租税収入に占める地方税の割合は、昭和50年度には36%であったものが、平成11年度には42%に上昇しており、また、これに地方交付税、譲与税を加えた地方の実質的配分は、11年度には58%となっている。国民負担率に占める地方税負担分は、連邦制の米国に次いで高い。
公債費比率(国24.2%、地方12.9%)、公債依存度(国37.9%、地方12.7%)、いずれも国の方が高い。仮に、歳入と歳出の両方から地方交付税交付金相当額を除いて国の公債依存度を計算してみると、45.0%に達する。地方債と異なり、国債は基本的に60年償還であり、公債費に占める利払費の割合が高くなる。
地方団体は、地方税を徴収するが、例えば、地方消費税については、国で税率を決めている。また、事業税や住民税についても、標準税率を下回る税率と設定すると起債が制限される制度となっており、地方団体の課税自主権は制限されている。その中にあって、地方団体は、主に、投票権をもたない法人に対して超過課税を行なっているのが実態である。
地方交付税法の下、基準財政需要額から、地方税の一定部分と地方譲与税等とを合わせた基準財政収入額を控除した不足額を、地方交付税として地方団体に交付している。しかし、こうした財政調整の結果、財政力指数(基準財政収入額/基準財政需要額の過去3年間の平均値)の低い県の方が、人口一人当たりの一般財源(地方税、地方交付税、地方譲与税の和)の額が多い傾向にある。また、一般に財政力指数の高い県よりも低い県の方が、人口一人当たりの人件費、物件費が高くなっている。