貿易投資委員会(委員長 槙原 稔氏)/7月6日
貿易投資委員会は、総合政策部会で検討してきた、提言「自由貿易協定の積極的な推進を望む〜通商政策の新たな展開に向けて〜」(案)の審議を行なった(6頁参照)。当日は、同審議に先立ち、通商産業省の今野秀洋 通商政策局長より、わが国政府の地域経済統合に対する取組みについてきいた。
わが国の通商政策は、WTOによる多角的貿易体制の強化を基本としつつ、これを補完するものとして、地域経済統合を位置付けている。
シンガポールについては、昨年末のゴー首相から小渕前総理への提案を受け、産官学の検討会が開始された。秋に予定されている首脳会談に報告書を提出することとなっているが、その後、正式に政府間交渉が始まることを期待している。
韓国との間では、自由貿易協定に関するアカデミックな検討が行なわれ、5月に報告書が出た。また、投資協定については年内の締結を目指した交渉が進んでいる。
メキシコおよびチリとは、政府が関与しない形で共同研究が行なわれている。
第1は、ダイナミックな自由化が促進されるためである。こうした理由から、WTOにおける旗振り役である欧米諸国は、地域経済統合にも積極的である。他方、アジア諸国も、さまざまな自由貿易協定を検討し始めている。
第2は、経済活性化効果である。国内産業を段階的に国際競争にさらしていくことで、効率化することができる。
第3は、世界において地域経済統合が拡大しているなか、日本だけが参加しないことによる不利益が現実化していることである。特にメキシコの例が顕著である。
第4は、通貨危機を経て、アジア諸国が日本との自由貿易協定に前向きになってきたことである。
なお、WTO協定には、自由貿易協定を締結する際の条件が定められており、こうした規定との整合的を確保する必要がある。
シンガポールとの自由貿易協定のメリットとしては、