関東地方の地域づくりに関する懇談会(座長 香西昭夫 国土・住宅政策委員長)/8月2日
建設省関東地方建設局(関東地建)は、2001年1月の省庁再編に伴い、国土交通省関東地方整備局へと改組される。この結果、地方整備局には従来の直轄事業の施行に加え、都市計画に係る許認可など新たな業務が委任される。関東地建では、関東地方における社会資本整備の基本的な方向性を示すとともに、行政内部の連携・調整を促進する観点から「関東地方長期ビジョン」を策定すべく、とりまとめ作業を行なっている。そこで、香西国土・住宅政策委員長をはじめ同委員会、輸送委員会等の幹部は、同ビジョンおよび関東地建が取り組む主要プロジェクトの概要等に関して、関東地建幹部から説明をきくとともに懇談した。
国際化、情報化が進展する一方、わが国財政状況は依然として厳しく、社会資本整備のあり方について新しい枠組みが求められている。今後、国土交通省として社会資本の既存ストックを有効に活用し、国土のマネジメントを進めることが重要となる。
行革により、来年1月から関東地方整備局に建設業の業行政、都市・住宅関係の補助事業の執行など新たな業務が委任される。また、その一環として、関東地建が本年2月にさいたま新都心に移転したことも踏まえ、都市圏の構造転換にも取り組みたい。
関東地方長期ビジョン
関東地建では本年秋を目途に、関東地方全体の将来像と社会基盤整備のあり方を明確にするため、関東長期ビジョン(第1次)をとりまとめることとしている。
同ビジョンでは、安全に安心して暮らせる地域、最先端の都市生活と豊かな自然環境が共存する地域などを関東地方の将来像として想定し、それに対応する社会基盤整備のあり方を検討している。社会基盤は、
関東広域情報ネット構想
IT革命への対応は国の大きな課題であり、建設省でも光ファイバーなどの整備促進に取り組んでいる。関東地方の情報インフラについては、1999年度末、光ファイバー整備が約3,000kmまで進捗しており、概ね2005年度末に全体計画(7,269km)を完成させる予定である。
しかし、インフラをどのように活用すべきか、というソフト面についての検討が遅れていたため、関東広域情報ネット構想を策定する必要があった。その枠組みは、
スーパー堤防整備事業とは、人口・資産が高度に集積した大都市を堤防破堤による壊滅的な被害から守るため、現在の堤防の市街地側に土を盛って、堤防の幅を高さの30倍程度にする治水事業である。このように地震に強く越水・浸透しても壊れないスーパー堤防は、その上に家を建てるなど普通の土地利用ができることが特徴である。現在、関東地方では利根川、荒川など4河川がスーパー堤防対象河川となっている。
スーパー堤防整備は、まちづくり事業と共同化することによって、双方の費用を軽減しまちづくりを支援することにもつながる。こうした実例として、亀戸・大島・小松川地区における市街地再開発事業との共同化などがあり、土地の高度利用により建物の高層化・不燃化が図られている。
東京圏は世界の主要都市の中でも圧倒的に人口と都市機能が集中しているにもかかわらず、交通渋滞や環境問題の深刻化によって国際都市としての魅力が低下している。
わが国の都市における道路面積率は欧米の主要都市に比して低水準であり、中央環状線、外環、圏央道の3環状道路を早急に整備することが求められている。その部分的整備だけでも、年間約2兆円の経済効果、圏央道内側の主要渋滞ポイントの約6割解消が見込まれている。土地収用などの課題はあるが、2007年度を目途に何とか3環状の部分完成を目指したい。
ところで先般、政府税制調査会において道路特定財源の見直しが提起されたが、道路建設を環境破壊と決めつけ、税金の道路財源化を批判する論理は短絡的である。建設省としては、道路整備を緊急かつ計画的に進める安定的な財源を確保するため、受益者負担の考え方に基づき、道路特定財源を創設・拡充してきたことから、一般財源化することは適切ではないと考えている。