第28回東亜経済人会議/12月7〜8日
東亜経済人会議日本委員会(委員長 香西昭夫氏)では、毎年、台湾の経済人との間で東亜経済人会議を開催している。本年は12月7日と8日の両日、経団連の沖縄振興策の一環として、7月にG8サミットが開催された名護市の万国津梁館にて第28回東亜経済人会議を開催した。以下は、同会議における討議内容をまとめたステートメントである。 |
![]() 右から今井会長、香西委員長、鄭世松台湾側団長 |
2000年12月8日 於 沖 縄 |
第28回東亜経済人会議は、2000年12月7日、8日の両日、沖縄県名護市万国津梁館において開催された。日本側からは、香西昭夫東亜経済人会議日本委員会委員長はじめ83名、台湾側からは鄭世松 東亜経済会議中華民国委員会副会長はじめ60名が参加した。
今回の会議では、台湾と地理的に近く、従来特に交流の深かった沖縄で20世紀を締めくくる東亜経済人会議が開催されたことは21世紀における日台協力関係の更なる発展への展望を共有する上で意義深いことが指摘された。全体会議において「日台双方の経済の現状と日台経済関係」ならびに「アジア経済の発展とグローバリゼーションの進展、IT革命への対応」について活発な意見交換が行われた。また、「貿易・投資・技術協力(観光を含む)」、「金融・証券」および「環境・エネルギー」の各分科会において、双方の持続的な経済成長のための方策や日台協力のあり方について、率直な意見交換と建設的な討議が行われた。
今井敬経団連会長が、経団連会長として初めて東亜経済人会議で「日本経済の現状」に関して講演を行った。日本経済は1990年代後半から低迷を続けたが、数回にわたる大型の財政出動、超低金利の金融政策の継続、グローバルスタンダードにあわせた法制・税制の改革によって設備投資を中心とした民需主導による緩やかな自律的回復を歩み始め、2000年度の成長率は2%近くに達すると予想される。これからの中長期的課題は構造改革を進め、日本経済・産業の体質改善をはかり、持続的な経済成長を維持することであるとの指摘があった。
また開催地である沖縄の経済界から「特別自由貿易区」の活用を要請され、沖縄と台湾との連携が日台双方の発展に寄与しうるとの発言が披瀝された。
台湾側から、台湾経済について次のような説明がなされた。実質経済成長率は今年6.47%、来年は6.03%が見込まれ、安定成長を続けている。国内の電子産業の競争力が持続的に向上し、貿易も顕著に増加している。一方で、株価下落による民間消費への影響、伝統産業の海外移転による設備投資の成長鈍化、構造的失業などの問題もあるが、政府の適切な金融緩和政策等により来年の6%成長が達成できる見通しである。
アジア経済については、全体として通貨・金融危機による経済の低迷から抜け出したが、今なお金融システムの再構築など構造的課題を抱えているとの認識で一致した。グローバリゼーションとIT革命の進展はアジア経済に新たな成長をもたらす可能性があるが、経済成長の主要な原動力が知識集約産業に移行しつつある中で、ITや金融・サービス分野における日台協力は特に重要であり、アジア地域全体の発展において日台は21世紀に入ってからも一層重要な役割を果たすとの点で意見が一致した。
日台双方は、分科会での討議を通じて、各分野における日台協力をさらに推進していくことに合意した。
双方は、第29回東亜経済人会議を、双方が適当と考える時期に台湾で開催することに合意した。また第13回幹部会議を第29回東亜経済人会議以前の適当な時期に、日本で開催することについても同意した。