経団連くりっぷ No.140 (2001年1月25日)
なびげーたー
経済本部長 角田 博
自社株を保有し、これを企業組織再編、市場の安定、年金基金への拠出等に弾力的に使えるようにして欲しいという要望の実現を図る。
最近株価対策として経団連が主張している自社株の取得と「金庫株」としての保有の解禁が注目されている。これは株価の下支えに役立つが、経団連は金庫株の解禁を昭和40年代から求めてきており、最近の株価急落を見て急に言い出したものではない。
具体的にどう要望するかは現在検討中であるが、事務ベースでの検討では大きく三つに分かれ、
わが国の商法では、会社が自己株式を取得、保有すると、
海外の事例を見ると、米国のデラウェアやニューヨーク州などの会社法では金庫株として目的を問わず保有し取締役会決議で自由に処分できる。デラウェア州法で設立された米企業は4割であり、米国の過半の企業が自由に保有している。GEは常に10%程度保有し、年金目的などに活用しているという。
欧州では、日本と同様原則禁止であるが、例外事項に敵対的買収に対抗する場合(独)や相場調整(独、仏)が認められるなど、日本よりも幅広く容認されている。なお保有限度は、独、仏では、発行済株式総数の10%まで認められている。財源規制について日欧は配当可能利益の範囲内であるが、米では剰余金(純資産−資本金額)であり範囲が広くなっている。
株価低迷で日本企業がM&Aの対象にされる危険性が増えており、この際取得目的を限定せず、