経団連くりっぷ No.159 (2001年11月22日)

不動産流通課税の廃止を求める

−買い手の意欲を喚起し、資産デフレからの脱却を


資産デフレからの脱却の鍵は、土地の流動化・有効利用による都市再生である。不動産には流通・建設、保有、譲渡の各段階で課税されているが、とりわけ流通・建設段階での税は多重である。

図のように土地を4億円で購入し、建物を6億円で建設する場合を想定すると、登録免許税、不動産取得税、印紙税に加え、建物の建設段階にかかる事業所税、消費税などを合わせると、7,785万円かかる。これは土地・建物の購入・建設費の7.8%にものぼり、この想定にそった規模のビルの初年度のキャッシュフロー収入6,924万円を上回ってしまう。

流通課税は不動産取引の背後の担税力に着目し、課税が行われているが、これだけ多重に課税する根拠は乏しい。都市再生への投資意欲を喚起するためにも、登録免許税は手数料化し、不動産取得税は廃止すべきである。


【モデルケース】
土地を4億円で購入し、建物を6億円(@20万円/m2×3,000/m2)で建設。
専有床540坪、賃料2万円/坪/月、空室率5%と想定し、試算。
〔流通・建設段階での負担額〕 〔初年度のキャッシュフロー〕
税目種類対象税率(軽減措置込み)負担額
登録免許税国税土地
建物
固定資産税評価額×(土地)1/3×5%・(建物)0.6%719万円
不動産取得税都道府県税土地
建物
固定資産税評価額×(土地)1/2×4%・(建物)4%2,240万円
印紙税国税土地
建物
15,000円から540,000円まで段階課税26万円
事業所税指定都市特別区等建物6,000円/m21,800万円
消費税国税
都道府県税
建物5%3,000万円
特別土地保有税市町村税土地3%(税額算定に際しては不動産取得税相当額を控除)申請手続のみ
賃料収入12,312万円
外注委託費2,138万円
水道光熱費1,076万円
固定資産税・
都市計画税
1,071万円
オフィス管理料・
火災保険料・修繕費等
1,103万円
費用計5,388万円
流通・建設段階負担税額合計7,785万円(実効税率7.8%)
初年度キャッシュフロー計6,924万円

流通・建設段階の課税は、初年度のビル管理収益を上回る重さ


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