経団連くりっぷ No.160 (2001年12月13日)

タクシン・シナワット タイ王国首相との朝食懇談会/11月20日

中国のWTO加盟は新たなビジネスチャンスをもたらす


日タイ貿易経済委員会では、来日中のタイのタクシン首相一行を招いて朝食懇談会を開催した。タイ側からは、タクシン首相はじめソムキット副首相兼蔵相、スラキアット外相、アディサイ商務相、スリヤ工業相、チャトゥロン首相府相ら25名が出席し、タイの投資環境や中国に対する見方などについて説明があった。経団連側からは、今井会長、安居日タイ貿易経済委員長、上島副会長、西室副会長はじめ30名が出席し、安居委員長が進行役を務めた。

タクシン首相

○ タクシン首相説明要旨

  1. 日タイ両国間の経済関係は強力であり、経済的なパートナーシップも新たな高みに到達している。タイ政府は、両国経済界間の協力を引き続き促進させることが重要と認識している。

  2. タイ政府は、外国投資をさらに呼び込むため、長期的な政策を打ち出している。現在、外国人投資家に魅力的な投資機会を提供する多くのプロジェクトが進行中である。これには、投資金額の25%を上限としてタイ政府が外国人投資家と共同投資を行うマッチング・ファンドが含まれる。この他、日本からの投資を期待する分野としては、TAMC(国営資産管理会社)に金融機関から譲渡された資産への投資がある。

  3. タイの投資環境に関する経団連からのどのような提案も歓迎する。タイ政府として、それら提案には柔軟に対応し、今後も投資環境の整備に努めたい。

  4. 中国に関しては、「チャンスあるところに脅威あり」であり、「脅威をチャンスにする」ことが必要と考える。中国のWTO加盟は、タイにとって脅威であると同時に、ビジネスチャンスももたらすと考える。中国とは強い協力関係を結んでいる一方、どの分野で中国が脅威となりうるかも研究している。

  5. 小泉総理との会談では、日タイ間のパートナーシップ枠組みの中で、両国間のFTAの可能性について研究することを提案した。
    その際、

    1. 今からでもすぐにスタートできる産品・セクター、
    2. FTAが可能かもしれないが一定の調整が必要な産品・セクター、そして、
    3. デリケートな産品・セクター、
    という3分野に分けて検討してはどうかと考える。さらに 3. については、4〜5年後まで検討を先送りしても良い。

  6. ラオスやカンボジア、ベトナム、ミャンマーといったアセアン新規加盟国へのモノやサービスの提供に際して、地理的な要衝の位置にあるタイを生産拠点として活用してほしい。

  7. タイの人口は6,200万人で、貧困層がまだまだ多い。現政権は経済成長を維持するためさまざまな対策を講じており、特に農村経済の活性化に注力している。貧困層の負担を軽減し、タイの将来の顧客に育てたい。貧困対策への協力は、新たな市場の創出につながると考える。


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