WTOサービス自由化交渉に関する懇談会/11月20日
WTOサービス貿易自由化交渉について、これまでの交渉の論点ならびに新ラウンド立ち上がりを受けての今後の交渉予定について、外務省経済局国際機関第一課サービス貿易室の下川真樹太室長より説明をきくとともに懇談した。
先般、ドーハで開催されたWTO第4回閣僚会議で新ラウンドが立ち上がったことを受けて、サービス交渉もいよいよ本格的な分野別交渉に移行する。閣僚宣言には、初期リクエストを2002年6月30日まで、初期オファーを2003年3月31日までに提出することが盛り込まれた。わが国政府としては、各方面からの意見を聴取し、2002年4月から5月に意見を最終調整のうえ、6月には初期リクエストを提出する予定である。
分野横断的論点:
分野横断的な論点としては、国内規制の透明性、GATSルール(緊急セーフガード、政府調達、補助金のルール作成)、分類問題、最恵国待遇(MFN)免除、相互承認、独占・排他的なサービス提供者の扱いがある。このうち国内規制の透明性については、資格要件、資格の審査に関わる手続、技術上の基準、免許要件、免許の審査に関わる手続に関する措置について、透明性及び必要性の分野横断的規律を作成する作業が主に行われている。
分野別の議論:
10月のサービス貿易理事会特別会合では、以下の分野について各国が提出した提案を基に議論を行った。
教育:
米国等が、語学教育、教育講座等の商業ベースの教育サービスに関心を持っている。
エネルギー:
米国、EU、カナダ、ノルウェー、ヴェネズエラ、チリ等から提案が出ている。法人の形態規制、外資規制、経済需要テスト、モノ・ヒトの移動等が市場障壁としてあげられている。基本電気通信の参照文書を適用する案もある。
環境:
EUが高い関心を示している。環境関連サービスの分類の明確化について議論が行われている。
金融:
米国、EU、カナダ、スイス、豪州、韓国等から提案が出ている。電子商取引の発展により新しいタイプのサービスが増えていることから、それらを各国の約束表にどのように取り込むかが課題の一つにあがっている。
観光:
ドミニカ共和国等の発展途上国が積極的な分野である。
娯楽、文化、スポーツ:
ニュージーランドが提案を出している。
運送サービス:
わが国、EU、韓国、豪州、ノルウェー等が海運交渉を働きかけている。航空サービスは、EU、ニュージーランドが関心を有している。
人の移動:
インド等の途上国が高い関心を有していることから、サービス交渉において重要な交渉項目となろう。