規制緩和は粘り強い取組みを

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豊田 章一郎 経団連会長


政府の規制緩和推進計画が発表されました。個々の規制緩和の実施時期を明確にしたこと、フォローアップの体制の整備をうたっていることなどの点で、いちおう評価できる内容となっています。

今回の計画に対して、内外から厳しい批判もあります。たしかに、「経済的規制は原則自由」という考え方に照らした時、不十分な点も数多くあると思います。しかし、今回の計画は、規制緩和への第一歩であります。これを着実に実行し、また、足らざる点はさらに前進させるという姿勢で、今後も粘り強い取組みを続けていかねばなりません。

そのために必要なことは、第1に、計画の実行・見直しについて、その状況を逐次発表するなど、しっかりと監視していくことです。経団連としても、行政改革委員会が監視機能を十分に発揮できるよう、他の経済団体等とも協力して最大限の支援を図っていきたいと思います。

第2に、計画の定期的な見直しであります。経団連としては、今回の計画に盛り込まれなかった事項についての要請も含め、計画内容の見直しを強力に働きかけていかねばなりません。

第3に、規制緩和に関する、消費者や国民全体の世論の盛り上げを図っていくことです。規制緩和が内外価格差の是正や新しいビジネスチャンスの拡大、ひいては新たな雇用機会の増加をもたらすことを、幅広く国民に訴え、規制緩和のさらなる前進への力としていく必要があります。

アメリカでは、1970年代の後半から80年代の前半にかけて、航空業界や通信などの分野で規制緩和が果敢に進められ、それが今日のアメリカ産業界の活性化につながっていると言われています。しかし、これも一朝一夕で実現されたものではなく、さまざまな反対や抵抗を克服しながら時間をかけて達成されたものであります。

私たちも、粘り強く、たゆみのない取組みによって規制緩和を推進し、日本経済の活性化を図っていきたいと思います。(とよだ しょういちろう)


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