創造性ということ

青井 舒一 経団連副会長


戦後50年、わが国は荒廃の中から立ち上がり、ひたすら欧米をターゲットにキャッチアップを目指してきた。そしてまがりなりにも1人当たりGDPでは欧米を追い越すところまできた。しかし、日本を取り巻く環境変化、日本経済自身の構造変化によって、これまで日本経済を支えた多くのものが変質し、根本的な改革を迫られている。

既存産業の成熟化傾向ならびに生産拠点の海外展開による空洞化もその1つであり、今後これに代わる新産業・新事業の創出が重要課題となっている。同時に、こうした産業の担い手として創造的な人材の育成と活用が急務とされている。この面で米国はわが国に比べ格段に進んでいるといわれ、いわゆるベンチャービジネスが毎年夥しく生まれ、こうしたビジネスを尊重する風土があり、また、それらを支える仕組みもできている。

私は「創造性」という資質は教えて生まれるものではなく、本人が持っているものであり、また、自分で身につけていくべきものであると思う。要はそうした資質を発見して正しく評価し、活用していく環境をつくることが必要である。歴史的にみても日本人が創造性にも恵まれた国民であることを証明する例は多い。(あおい じょいち)


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