中国雑感

青井 舒一
経団連副会長


去る4月9日から15日まで経団連訪中代表団の一員として、中国を訪れた。経団連としては、土光ミッション以来19年ぶり、私個人としても久しぶりの訪中であった。今回は、北京・上海・蘇州を訪問したが、どこでも地元を挙げての「熱烈歓迎」を受けた。同時に、行く先々で見た中国の急速な発展ぶりと熱気、そして経済建設に対する中国の人々の自信を肌で感じた1週間であった。

今回の訪中では、江沢民国家主席をはじめ、中国の要人と直に会い、意見交換をすることができたこと、上海では浦東開発区、蘇州ではシンガポール%蘇州工業都市および蘇州工業新区を訪れ、進出企業の工場を視察するなど、直接現場の状況を見ることができたことが大きな成果だったと思う。

経団連は21世紀に向けて日中間のモニュメントとなるようなプロジェクトとして、環境・エネルギー、揚子江流域開発、新幹線の3つを提案した。中国側はこれに賛意を表するとともに、農業についても日本の協力を要請した。中国の農業問題は世界の食糧問題にも影響する問題であり、大いに協力すべき分野であると思う。経団連が提案した事項や農業問題は互いに関連しており、総合的な視点からのアプローチが必要である。

私は今回の訪問で、今後の中国の経済発展にとって、最も大切と感じたことは、第1に経団連が提案したような経済社会インフラの整備を急ぐこと、第2に法制度、会計制度、経営システム等のソフトインフラの整備、第3に10万ともいわれる膨大な数の国有企業の改革であろう。こうした分野での日本の協力の余地は大きい。

私たちが訪れた中国は春の息吹があふれ、上海から蘇州への風景は、菜の花が一面に咲き、真新しい一戸建て住宅がたくさん建てられ、開発の息吹が感じられた。蘇州の工業団地で私たちを歓迎してくれた、現地の小学生たちの澄んだ明るい瞳は中国の発展を感じさせるものであった。

(あおい じょいち)


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