月刊 keidanren 1998年 2月号 巻頭言

行政改革の実行と前進

豊田会長

豊田章一郎
経団連会長


行政改革会議の最終報告が昨年12月3日に発表され、翌日の臨時閣議で、政府がこれを最大限尊重して法案化・実施する方針が決定されました。私も、委員の1人として参画し、経済界の立場から意見を申し上げてきましたが、一昨年の11月末からほぼ1年という短い期間で難しい作業をまとめることができたのは、橋本総理のリーダーシップと佐藤・藤田両主査、そして事務局の方々のご尽力に負うところが多いと思います。

行政改革会議の所期の目的は、大きく分けて、

  1. 政治のリーダーシップ発揮のために内閣機能を強化する、
  2. 縦割りの弊害を排し、時代の新しいニーズに対応した行政を実現するために中央省庁を大括り化・再編する、
  3. 小さくて効率的な政府を実現するために行政のスリム化をはかる、
の3つでした。今回の最終報告は、これらの目的に照らしてみれば、大きな前進であったと言えるのではないかと私は考えております。

最終報告の内容について、各方面からさまざまな意見があり、また、個々には、不十分な点を指摘する声もあります。しかし、総合的にみれば、私は、行政改革が前進した点に目を向けるべきであり、今回の成果を前向きにとらえ、それを本当に生かしていくべきであると思います。

改革を一歩でも二歩でもすすめようとするポジティブな発想が大切であり、もし、障害があるのなら、それを克服していくという建設的な姿勢が、今の日本には求められていると思います。そうした意味で、今後、この最終報告をどのように法制化し、いかに実行に移していくかが何よりも重要な課題です。経済界としても、規則緩和や金融システム改革など、他の諸課題もあわせて橋本総理の6大改革を全面的に支援し、全力で推進していきたいと思います。

(とよだ しょういちろう)


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