経営タイムス No.2633 (2002年6月13日)

「法人実効税率、35%程度に」

−奥田会長記者会見、税制改革で意向示す


 日本経団連の奥田会長は10日、経団連会館において記者会見を行い、税制改革に関連し「法人実効税率は欧州並みの35%程度にしてもらいたい」との考えを明らかにするとともに景気の先行きなどについて所見を述べた。質疑の要旨は次のとおり。


―法人実効税率の引き下げや外形標準課税の導入についてどう考えるか。
奥田会長)私見だが、法人実効税率に関しては、欧州並みの35%程度にしてもらいたいと思っている。外形標準課税については、各企業がすでに固定資産税などの応益課税を払っている。税のかけ方が問題である。中小企業の実態をよく見てから慎重に検討してもらいたい。

―景気の先行きについてはどう考えるか。
奥田会長)7日に発表されたGDP統計(1−3月期)は良い数字が出たが現在、設備投資は伸びていない。住宅投資も落ちている。雇用の回復も遅れており、頼みの米国経済も思ったほどではない。こういった客観情勢を考えると先行き楽観は許されないといえる。

―ワールドカップサッカー大会の感想を伺いたい。
奥田会長)ワールドカップに日本中が熱狂し興奮しているが、ああいう熱気が現在、日本を包んでいる閉塞感に、経済的にも社会的にも風穴を空けるきっかけになるといいと思う。

―地球温暖化防止問題へのスタンスを伺いたい。
奥田会長)日本経団連は京都議定書の批准に反対していない。今後は、アメリカやカナダ、オーストラリアなどの参加に向けて、働きかけていく努力が必要だ。

―塩川財務大臣が平成15年度予算についても一般歳出は前年度を超えないとの考えを示しているが。
奥田会長)規制改革、税制改革によって日本の景気を浮揚させようとする一方で、まずやらなければならないことは、大幅な歳出のカットである。前年並みというよりも、もっときつい削減が必要である。

―環境税に対するスタンスは。
奥田会長)検討することについては前向きである。

―「日本経団連」の「日本」は「にほん」と読むのか、「にっぽん」と読むのか。
奥田会長)「にっぽん」と読むのが正しい。


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