経営タイムス No.2639 (2002年7月25日)

奥田会長記者会見「経済の高成長は困難」

−認識示し対応策示唆


 日本経団連の奥田碩会長は22日、東京・大手町の経団連会館で記者会見し、次の所見を述べた。

 まず、わが国の経済成長については、日本を取り巻く状況から従来の高成長を行うことは難しいとの認識を示した。その上で、産学官連携による先端技術の創造や、新規需要、新事業を興していくための環境整備の重要性を指摘するとともに、企業のみならず労働組合、家計においてもバブルの清算を行い、現在の給与体系の中で新たな希望を求めることも必要なのではないかと語った。

 予算編成については、これからのこととしながらも、新規国債発行枠30兆円は平成13年度、14年度のことであり、15年度についての公約ではないとの認識を示した。税制改正については、自民党税調だけで決まるものではないが、手続き上、最終的には党税調を経なければならないと述べた。

 株価については、予測不可能としながらも、日本経済の構造、特に金融に大きな影響を与え、経済を損なわないようにすべきであると警戒感を滲ませた。

 円ドル為替レートの許容範囲について問われると、110−120円の間が、各企業がかろうじて黒字を出せる水準ではないかと述べた。

 ペイオフについては、株価が1万円程度で推移し、中小企業、特に地場の金融機関の整理統合が進行中の今は判断できないとし、8月、9月の世界情勢も踏まえて考える必要があるとの認識を示した。

 雇用保険の弾力条項適用については、政府で決定されたものとの認識を示したが、料率の一層の引き上げは回避するのが望ましいとし、社会保障制度改革の全体像を国民に示し、その中で決めるべきであると述べた。

 小泉改革については、現状は10%から15%の進捗率との評価を下すものの、2006年までには70%から80%の成果を挙げて欲しいとの期待を寄せた。

 最後に、企業倫理の問題に関連して、三井物産から詳しい話を聞いた上で、日本経団連としての対応を決めるとし、逮捕された社員の扱いについて結論が出て、何らかの申し出があれば、会長・副会長会議に諮り対応を決めるとの考えを明らかにした。


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