経営タイムス No.2643 (2002年8月29日)

経済広報センター、「第18回企業広報賞」表彰式開く

−最優秀賞に吉野家ディー・アンド・シー


 財団法人経済広報センター(奥田碩会長)は21日、東京・大手町の経団連会館で「第18回企業広報賞」の表彰式を開催した。出席者は約200名。

 表彰式の冒頭、あいさつに立った奥田会長は「広報は企業の真摯な取り組みを広くご理解いただき、企業が社会からの信頼を確保するためのカギを握っている」と、広報の重要性を強調した。

 続いて、選考委員を代表して一橋大学の伊藤邦雄教授が講評を述べた。その中で伊藤教授は「今回の受賞企業、受賞者には共通項がある。キーワードは『地道』と『誠実』だ。最近、広報・IRには即効性を求められ、ともすればインスタントな広報になってしまう。しかし、日ごろから地道に、そして誠実に広報活動をしてきた姿からは教えられることが多い」と総括した。

 最優秀賞を受賞した吉野家ディー・アンド・シーは、BSE(牛海綿状脳症)など企業にとって逆風の経営環境の中で、トップと広報が一体となって自社製品の安全性を社会に積極的に発信し、消費者の信頼低下を防いだ点が評価された。表彰式には、安部修仁社長が出席し「今後、一層真摯に、そして誠実に広報活動をしていかなければならないという感を強くした」と語った。

 優秀賞は東日本旅客鉄道とリコーが受賞。東日本旅客鉄道は大塚陸毅社長、リコーは桜井正光社長が出席し、あいさつした。

 トップ広報を実践している経営者に贈られる「優秀経営者賞」は、御手洗冨士夫・キヤノン社長と井植敏・三洋電機会長が受賞。御手洗社長は「経営者賞ではあるが、全世界のキヤノン社員9万4000人のおかげだ。彼らを代表してこの賞を頂いたと考えている」と語った。

 また、井植会長は「最近発信している3つの重要なテーマのうち、ハイアール社との包括提携とワークシェアリングが注目されたことはうれしい。しかし、われわれとしては、環境問題への取り組みも強調したい」と語った。

 企業広報の発展に寄与した人に贈る「功労・奨励賞」は、キッコーマンの松本伸一広報・IR部長と、日本ビクターの中村誠ワールドカップ推進室長(前同社広報室長)が受賞した。

 表彰式後に行われたパーティーでは、経済広報センターの立石信雄副会長(オムロン会長)が「企業広報は、21世紀の経営の中で、大変重要な位置を占めるだろう」とあいさつした。

 企業広報賞は、同センターが優れた企業広報を実践している企業や個人を表彰するもので、1984年以来、毎年行っている。18回目を迎えた今年は、企業・個人あわせて69の自・他薦の中から、学者やジャーナリストで構成する選考委員会が審査し、「最優秀賞」「優秀賞」「優秀経営者賞」「功労・奨励賞」の各賞を選出した。


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