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経営タイムス No.2652 (2002年11月7日)

奥田会長記者会見、雇用保険料率の引き上げ反対の姿勢明確に示す


日本経団連の奥田碩会長は6日、東京・大手町の経団連会館で記者会見し、次の所見を述べた。

まず、日本経済の現状について、経済指標と実体経済との間に相当乖離があるのではないかとの認識を示した上で、改革の痛みを許容できる範囲はとの問いに対し、失業率でみると6〜6.5%までであると応じた。

不良債権処理の加速化に関連して、産業再生機構のトップとして望ましい人材は、実務に明るく、金融にも通じ、カリスマ性を備えた企業再建の経験者がふさわしいとの意向を示した。

税制改革については、今年の議論は結果的につじつま合わせに終わっており、抜本改革のためには来年、もう一度はじめから議論し直す必要があるとの考え方を明らかにした。

厚生労働省が企図している雇用保険料率の1.6%への引き上げについては、国民・企業にとってはなはだ迷惑な話、いつも不足分を料率改定で補うばかりでは国民の不安感を増幅し、消費を冷え込ませるとの認識を示した上で、まず社会保障制度改革の全体像を示すべきであるとして、料率引き上げに反対の姿勢を明確にした。

米国の中間選挙の結果については、政権党が敗れるという過去の例とは逆に、今回は共和党が勝つ見込みとなったことを踏まえ、今回の結果はブッシュ政権への信頼が増したものとの認識を示した。

APEC首脳会議で討議された自由貿易協定(FTA)については、対象国をどこに定めるかは別にして、世界各地で進めるべきとした。その上で、日本がFTAを検討する際に常に問題となる農業については、政府に対し、今後農業をどうするのかについて速やかに方針を出すことを求めた。


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