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経営タイムス No.2656 (2002年12月5日)

第11回政労使雇用対策会議、雇用の維持・確保へ政労使合意まとめる

−就職促進体制構築など三者の連携・協力を確認


政労使のトップで構成する第11回政労使雇用対策会議が4日朝、総理官邸で開催された。政府側からは、福田康夫内閣官房長官、坂口力厚生労働大臣、桜田義孝経済産業大臣政務官らが出席。経営側からは奥田碩日本経団連会長と矢野弘典同専務理事、労働側からは、笹森清連合会長と草野忠義同事務局長が出席した。会合では、現在の雇用情勢の悪化に対応するため雇用の維持・確保が喫緊の課題であるとの共通認識に立ち、「雇用問題に関する政労使合意」が取りまとめられた。

日本経団連・奥田会長、会員企業への周知を表明

冒頭あいさつで、坂口厚生労働大臣は、これまでの経緯にふれ「前回会合(11月26日)の前に、小泉純一郎総理大臣から今後の雇用対策について協力要請があった」と説明。これを踏まえ、政労使の意見のうち、一致点が見出せるものについて検討を重ね「本日までに合意に至った」ことを紹介した。
さらに、坂口大臣は「雇用情勢の悪化はわが国社会の安定にとって深刻な問題である。今後の経済の健全な発展の阻害要因ともなることから、雇用の維持・確保は喫緊の課題である」と強調し、「勤労者が仕事に意欲を持ち、企業が活力を持って活動できるような社会を再構築できるように政労使が取り組むことが重要」と協力を求めた。
加えて、厚生労働省として、平成14年度補正予算及び15年度予算において必要な予算の確保並びに関連法律案の提出など早急に必要な施策を実施して行きたい、と述べた。

福田官房長官は、「短期間にこのような成果が得られたことは労使協力の賜物である。深く感謝する」と謝意を示し、政府としては「今回の政労使合意を踏まえ、雇用問題に対処し、着実に成果を得ていくことが出来るよう努力したい。労使はこの合意を踏まえ、ともに力を合わせて難局に対処するようお願いしたい」と述べた。

奥田会長はまず、「総理からの要請を受け、短期間のうちに、政労使が積極的に討議を重ね、できる範囲で合意ができたことは歴史的なことである。とりわけ政府、労働側関係者に敬意を表したい」とあいさつ。
さらに、旧日経連と連合が、1999年、2001年と共同で雇用に関する宣言を行ってきたが、「今回の合意は、労使だけでなく、政府も交えている点で、これまでの宣言以上に重いものと受け止めている」と強調。その上で雇用維持の重要性について「失業者が増えると、社会不安が一段と広まり、消費に悪影響が出ることが懸念される」と指摘し、「企業の実態をみると、労働分配率が非常に高い水準にあるいま、雇用維持のために懸命の努力をしている。事業縮小などを余儀なくされた場合でも、地域のさまざまな協力をえて、雇用機会の確保にできる限り努めている」と雇用維持に努める企業の現状を説明した。
さらに、「経営者は、雇用の維持・確保という守りの姿勢にとどまらず、展望を持つことが重要である。『攻めの行動・対策』を取るべきである」との考えを示した。
今後の日本経団連の取り組みについては、「今回の政労使合意に関し会員企業への周知を図り、企業体質の強化と雇用に対する責務の両立に向け努力してほしい旨、要請したい」と伝えた。

「時宜を得たもの」と評価、笹森連合会長

笹森連合会長は、「小泉総理から歴史的な要請を受けて議論を重ね、本日政労使合意に至ったことを重く受け止めている」とあいさつ。
完全失業率が5.5%になるなど雇用失業情勢がますます厳しくなるというタイミングで合意できたことについて、「時宜を得たものと高く評価したい。今後はこの合意に基づき、それぞれの立場から真摯に責任を果たすことが求められる」とした。
また、合意の内容にふれ「労働条件の弾力化にも対応するとあるが、あくまで雇用維持・確保が大前提となる」と強調。そして、「生き方・働き方・暮らし方の見直しに繋げていきたい」とも述べた。

今回の政労使合意のポイントは、(1)雇用の維持・確保について、経営側はこれまで以上に最大限の努力を行い、労働側はこれに対応して雇用維持のために労働条件の弾力化などにより協力し、政府は労働保険制度の効率化・重点化を行うとともに、企業の雇用維持・確保努力に対する支援を行う (2)就職促進について、政府は、意欲を持つ者が仕事に就けるよう、再就職促進体制の整備、雇用創出、雇用保険制度改革の有機的連携により就職促進体制を構築する (3)労働市場改革について、政労使は、就業形態の多様化を進めるため、必要な規制改革を推進し労働法制の見直しを行うこと、など。今後この合意を踏まえ、政労使が協力して雇用問題に取り組んでいくことが確認された。

会議終了後、奥田会長、笹森会長らが、小泉総理大臣と会談、今回の合意内容について報告した。


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