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経営タイムス No.2662 (2003年2月6日)

日本経団連、防災特別懇談会開く

−企業防災のあり方論議


日本経団連は1月28日、東京・大手町の経団連会館で防災に関する特別懇談会の第2回会合を開催した。同懇談会には、樋口公啓座長・日本経団連副会長をはじめ関係委員長、会員企業の役員ら約40人が参加。石井隆一・消防庁長官が「今後の消防防災行政の方向と住民・企業との連携」をテーマに講演、消防防災における企業との連携の重要性を説くとともに、参加者との意見交換を行った。また、同懇談会の下に「企業防災のあり方に関するワーキンググループ」を設置することを全会一致で了承した。

開会あいさつで樋口座長は、8年前の阪神・淡路大震災にふれ、「当時の教訓を生かして災害に強い社会をつくることが最大の追悼ではないか」と、災害時における体制整備の重要性を強調。そのために、真に機能する緊急措置体制の整備を進め、企業と国や地方自治体、NPO、地域住民との協力体制が必要であると語った。

石井消防庁長官が講演

続いて行われた講演で石井長官はまず、消防の現況について、消防団員が減少(1989年100万人→2002年93.7万人)していると危機感を示した。
また、東海地震と東南海・南海地震が起こった場合の被害想定状況を説明した上で、公共施設等の耐震改修の推進や、緊急体制整備のため消防組織法と消防法の一部を改正する法律案の国会への提出など、防災への取り組みを披露した。
さらに、個人の住宅への火災報知器の設置義務付けにより火災での死者が減少したアメリカを例に挙げ、「今後は災害を予防することが重要。火災報知器を設置した場合にそれを評価する仕組みを経済界として考えてほしい」と語った。
企業活動との連携については、企業の防災・危機管理体制の整備や社員に対する防災・危機管理教育・訓練の実施などを求めたほか、レスキューロボットや防火服・防毒マスクなど防災に関する技術開発を進めてほしいと要望した。

講演後の意見交換では、火災に関して「原因調査も大事だが、適切に消火活動が行われたかについても調査を行えば今後の活動に役立つのではないか」との問いに対して石井長官は、「原因調査をきちんと行うことで消火活動調査も浮き彫りになる。予防が第一だ」と語った。
さらに、幅の狭い道路や電柱などが消火活動の妨げとなっているのではないかとの意見には同意した上で、幅の狭い道路にも進入できる消防車の開発も一案であるとの考えを示した。

意見交換後にあいさつした樋口座長は、「今後も実りある議論をし、スピード感をもって経済界として防災に協力していきたい」と結んだ。


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