[ 日本経団連 ] [ 機関誌/出版物 ] [ 経営タイムス ]

経営タイムス No.2667 (2003年3月13日)

春季労使交渉、金属大手で回答

−業績動向、賞与に反映が鮮明化


金属労協(IMF−JC、議長=鈴木勝利氏)に加盟する鉄鋼、自動車、電機、造船の金属主要4業種の労働組合に対し経営側は12日、賃金や一時金などについていっせいに回答を示した。業績好調なトヨタ自動車、日産自動車、本田技研では、過去最高の水準で一時金の回答が示されるなど、業績動向は賞与に反映すべきという考えが一段と鮮明になった。今年の春季労使交渉は、2年連続で連合が統一要求基準を掲げず、連合傘下の産別組合では、自動車総連が「賃金カーブ維持分+アルファ」という形でベースアップ要求に余地を残していた。

■ 自動車

自動車業界では、ベースアップ要求を見送ったトヨタは、制度維持分として賃上げ6500円、年間一時金237万円(5.0カ月+55万円相当)の回答を示した。また、「労働の質的向上による成果配分」として6万円(1人平均)を求めていた「特別支給金」については、「これまでの労働の質的向上を踏まえ、今後の更なる高度な働き方を期待」するものとして、今年度限りで支給することとなった。本田技研は、昨年10月から新制度に移行しており、賃金に関する要求はない。年間一時金については6.4カ月と、昨年比+0.1カ月の回答となった。
なお、日産は3日に組合要求どおりのベア1000円、年間一時金201万8000円の満額の回答を行っている。

■ 電 機

電機では、春闘の枠組みを離脱している日本コロムビアを除く大手16社が、「35歳技能職基幹労働者(4人世帯)」あるいは「30歳技術職基幹労働者(3人世帯)」のいずれかの登録ポイントにおいて、いずれも賃金体系維持が図られた。
年間一時金については、日立製作所122万9370円(4.3カ月)、NEC126万6900円(4.1カ月)、三菱電機109万8000円(4.0カ月)、富士電機121万3900円(4.2カ月)、シャープ155万2466円(5.0カ月)という回答が示された。
なお、電機各社の労組で構成する電機連合では、10日の中央闘争委員会で「基幹労働者の賃金体系維持と年間一時金4カ月」をスト回避の歯止め基準としていた。

■ 造 船

造船重機労連は、年間一時金と退職金増額を統一要求としており、これに対し経営側は、三菱重工50万5000円+3.5カ月、川崎重工28万円+3.5カ月+2万円(生産協力金)、石川島播磨20万円+3.5カ月、住友重機7万円+3.5カ月、三井造船27万円+3.5カ月と回答。
退職金については、60歳定年退職時点で20万円増額の要求に対し、三菱10万円、川重3万円、石播10万円、住重10万円、三井5万円という回答が示された。

■ 鉄 鋼

複数年交渉の2年目に当たるため、鉄鋼では一時金のみの交渉となった。年間一時金に関する大手5社のうち、交渉を行った3社の回答内容は、NKK130万円、住友金属110万円と、2社が昨年実績を上回ったのに対し、神戸製鋼は85万円で、昨年実績と同水準となった(いずれも半額39歳21年勤続標準労働者)。新日鉄、川崎製鉄は業績連動方式を採用するため、交渉はなし。5月の決算発表時に水準が確定する見通し。


日本語のトップページ