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経営タイムス No.2671 (2003年4月10日)

日本経団連、ベトナム投資セミナー開く

経済発展への協力を表明―奥田会長
日本企業の投資拡大要請―カイ首相


日本経団連は8日、来日中のファン・バン・カイ・ベトナム社会主義共和国首相一行を迎え、「対ベトナム投資の将来性を探る」をテーマにベトナム投資セミナーを開催した。セミナーには、ベトナム側からカイ首相はじめ政府閣僚・幹部やベトナム企業経営者らが参加。日本経団連からは、奥田碩会長、宮原賢次・日本ベトナム経済委員長、会員企業トップなどが参加した。

セミナー冒頭、奥田会長は、「ベトナムは将来性豊かな国であり、また日本にとって有望な投資先である。今後、日越関係がさらに緊密化することを期待している」と述べ、カイ首相一行を歓迎した。
加えて、日本経団連の対ベトナム活動について「日本ベトナム経済委員会を中心に奨学金や人材育成セミナーなど、ベトナムの人材育成プログラムに取り組んでいる」と説明。こうした活動を通じ「日本の経験をベトナムに伝え、ベトナムの経済発展に協力したい」との考えを示した。
さらに奥田会長は、昨年来の二輪車、四輪車の問題に象徴されるようなベトナム現地での問題解決に向け、「カイ首相はじめ関係者が進出企業との間で十分、協議している」ことを評価。こうした努力を通じ「ベトナムがさらなる飛躍を遂げることを願ってやまない」と語った。

これを受け、カイ首相は謝意を示したのち、「ベトナム政府は、日本を重要なパートナーと考えている」と強調。今後も経済はじめ多方面で関係強化に努めたいと述べた。
また、日本企業のベトナム進出について「積極的な投資姿勢を高く評価している。日本企業から近代的なマネジメント手法と経験を学んでいる」と述べた。その上で、投資に関する行政手続きの簡素化などベトナム国内の投資環境整備を進めていることを説き、「日本企業にはさらなる投資拡大を」と要請した。
ベトナム国内の投資環境の改善状況については、ヴォー・ホン・フック計画投資大臣が、国外からの投資促進のため国内電力料金や国際電話料金の引き下げを実施したほか、法人税などの優遇措置を講じていることなどを具体的に説明した。

進出企業が活動状況を報告

次いで、ベトナムに進出しているキヤノンと富士通2社の代表が活動状況やベトナム進出の印象などを説明した。
キヤノン生産本部生産企画センターの高橋泰樹所長は、「ベトナムは優秀な人材が豊富であり、勤勉である」と質の高い労働力が確保できるなどのメリットを強調。また、富士通コンピュータ・プロダクツ・オブ・ベトナムの川嶋修三社長は、「現地の従業員は、意識改革に柔軟に対応し、業務改善にも積極的に参加する。日本企業を成功させた経営手法を熱心に学ぼうとしている」と報告した。
また、国際協力銀行の近藤純一・専任審議役は、ベトナムへの政府開発援助(ODA)などの状況を説明したのち、ベトナムに進出している製造業を対象としたアンケート調査で、投資環境の改善状況について、ベトナムが高いポイントを得ていることなどを紹介した。

セミナーでは最後に、カイ首相があいさつに立ち、「このセミナーで、わが国へ投資するメリットなどについて、投資企業からご紹介され、ご理解いただけたと思う」と述べた。さらに、日本からのODAについて「インフラ整備や貧困撲滅に貢献している」と謝意を示すとともに、その増額について日本政府に働きかけてほしいと要請した。


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