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経営タイムス No.2688 (2003年8月21日)

2003年春季労使交渉、日本経団連がトップ・マネジメント調査

−賃金決定、2社に1社が「定昇のみ」

−定昇制度の廃止・見直し、約4割が実施や検討


日本経団連(奥田碩会長)が20日に発表した「2003年春季労使交渉に関するトップ・マネジメントのアンケート調査結果」<PDF>によると、(1)今次労使交渉における賃金決定の結果は2社に1社が定昇のみであったこと(2)今次労使交渉の結果として定昇制度の廃止・見直しの実施または検討を行った企業が4割に達していること(3)今後の望ましい賃金決定のあり方として6割を超える企業が「定昇制度を廃止し、成果や業績による賃金決定にすべき」と回答したこと――などが明らかになった。

<今年の賃金決定の結果>

今次労使交渉における賃金決定の結果は、2社に1社(50.1%)が「ベアは実施せず、定昇のみ実施」となっている。さらに、ベアゼロ・定昇のみ実施にとどまらず、「定昇を一部縮減して実施」(8.6%)、「ベア・定昇とも実施せず(賃金額据え置き)」(5.0%)、「定昇実施時期の先送り」(1.6%)、「時限的な降給」(1.4%)、「恒久的な降給(ベースダウン)」(0.2%)といった定昇の調整等を実施した企業は、合わせると16.8%となっている。
一方、「ベア・定昇とも実施」は4.8%で、「ベア・定昇の区分はないが、賃上げを実施」が17.4%となっている。

<今次労使交渉の結果、とられた措置>

今次労使交渉における賃金決定以外の結果では、「定昇制度の廃止・見直し(またはその方向での継続協議)」が40.7%(複数回答、以下同)で最も多い。また、「管理職の賃金額据え置き」(13.9%)と「管理職の賃金減額」(10.2%)を合わせると、約4社に1社の割合で、管理職の賃金の据え置きまたは減額を行っている。
賞与・一時金については、対前年1人当たりで「引き下げた」企業は35.4%、「引き上げた」企業は13.4%となっている。また、「賞与・一時金の業績連動制導入(またはその方向での継続協議)」は23.1%に及んでいる。

そのほか、回答数が多かった項目では、「退職一時金・年金制度の見直し(またはその方向での継続協議)」(32.9%)、「諸手当の廃止・減額」(15.7%)、「法定外福利厚生の削減」(15.7%)などが挙げられる。

「定昇+ベア方式」見直しが9割を超す

<今後の望ましい賃金決定のあり方>

今後の望ましい賃金決定のあり方としては、「定昇+ベア方式でいくべきである」とする企業は0.6%にとどまり、「定昇制度を廃止し、降給も含めた成果や業績による賃金決定とすべき」とする企業が60.6%となっている。さらに、「定昇のみとし、成果や業績は賞与に反映すべきである」(25.5%)、「定昇を中心とし、必要があればベアを行うべきである」(6.7%)を合わせると、定昇廃止を含めた「定昇+ベア方式」の見直しを考えている企業は9割を超えている。

<雇用問題>

今次労使交渉の場で、「雇用問題が取り上げられた」企業(36.0%)のうち、「将来に向けて雇用維持を優先させるため、賃上げを抑えた」企業が52.3%(回答企業全体の18.8%)を占めている。また、「雇用を維持するため、賃金減額を行った」企業も10.2%(同3.7%)あり、雇用問題が取り上げられた企業のうち、雇用維持を優先する企業が6割を上回っている。
今後の雇用形態の組み合わせについては、「長期雇用労働者が中心だが、パート・派遣等の比率を拡大する」とした企業が57.2%で最も多く、次いで、「今後も長期雇用労働者を中心にする」(26.9%)、「長期雇用労働者は中核業務を担う少数のみとし、他は可能な限りパート・派遣等へと切り替える」(13.5%)となっている。

◇ ◇ ◇

同調査は、日本経団連会員会社および東京経営者協会会員会社を対象に、今次春季労使交渉について企業トップ層の考え方を調査したもの。1969年から実施しており、今回で35回目。今回の調査対象は2130社で、うち503社から回答を得た(回収率23.6%)。


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