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経営タイムス No.2688 (2003年8月21日)

日本経団連が「WTOミッション」派遣

−新ラウンド交渉推進へ/各国政府などに働きかけ


日本経団連は、新ラウンド交渉の推進に向け、「WTO(世界貿易機関)カンクン閣僚会議に向けた緊急提言」をとりまとめた上で、同提言をベースとして、WTO事務局や各国政府への働きかけを行うとともに、欧米の経済団体との連携強化を図るため、7月14〜23日の日程でミッションを派遣した。同ミッションは、團野廣一・貿易投資委員会総合政策部会長を団長に、企業の実務担当者21名が参加、スイス・ジュネーブ、ベルギー・ブラッセル、米国・ワシントンDCを訪問した。

欧米経済団体との連携強化も

ジュネーブのWTO事務局では、スパチャイ・パニチャパック事務局長とあいさつする機会を得たほか、農業交渉グループの議長も兼任するスチュアート・ハービンソン官房長をはじめとするWTO事務局幹部や、日・米・欧・加および発展途上国の交渉者に対して、日本経済界の切実な危機感を伝え、難局を乗り越えるための最大限の努力を求めた。
また、欧州産業連盟(UNICE)、米国ビジネスラウンドテーブル、米国国際ビジネス協議会(USCIB)、米国商工会議所などの欧米経済団体を訪問し、新ラウンド交渉の推進に向けて、連携強化を確認した。

訪問先では、日本経団連が発表した緊急提言について、自由貿易のさらなる進展を求める内容であると高い評価を受けるとともに、新ラウンド交渉が大変な岐路に立っているとの認識も共有、日本経済界への強い期待が寄せられた。

今後、日本経団連では、日本経済界の要望の実現に向けた働きかけを強めるために、渡邊幸治・日本経団連特別顧問を団長とする代表団を9月開催の「第5回WTOカンクン閣僚会議」に派遣する。さらに、同閣僚会議に先立って開催されるセミナーに西室泰三副会長が参加して、日本経団連の考えを伝える予定である。同閣僚会議においては、政府間の検討状況を注視するとともに、各国の経済団体と意見交換を行い、日本経団連の主張を改めて表明することとしている。

◇ ◇ ◇

2001年11月に開催されたWTOドーハ閣僚会議において、2002年から新ラウンド交渉を開始し、2005年1月1日までに妥結をめざすことが決まったが、新ラウンド交渉の現状をみると、今年3月末の農業に関する交渉モダリティ合意や、5月末の非農産品市場アクセスに関する交渉モダリティ合意、紛争解決了解に関する交渉の最終合意のいずれもが、期限内に実現していない。
こうしたなか、来月10日から14日には、メキシコ・カンクン市で第5回WTO閣僚会議が開催される。同閣僚会議は、加盟国が新ラウンドの成功に向けた政治的意思を示す重要な場となる。各国が、農業問題と発展途上国問題の解決に向けて真剣に取り組み、農業と非農産品の市場アクセスに関する交渉モダリティ合意に道筋をつけるとともに、投資ルール策定や、政府調達の透明性、貿易円滑化、競争ルール策定という、シンガポール・イシューの4項目について、交渉を開始することが期待されている。


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