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経営タイムス No.2688 (2003年8月21日)

「障害者雇用率未達成企業名開示を」

−内閣府情報公開審査会が答申


内閣府情報公開審査会は8日、障害者雇用率開示請求に関する厚生労働省の再諮問に対し、「平成14年12月の厚生労働大臣裁決は妥当である」などとする内容の答申を行った。

障害者雇用率開示請求に関しては、情報公開法が施行された平成13年11月、障害者雇用促進法で定められた障害者雇用率について、「平成12年度における東京労働局管内企業の実績」を開示するよう市民活動家が求めた。これに対し、東京労働局長が「未達成企業名を含む一部情報を不開示」としたことから、請求人が厚労省に不服審査を請求、厚生労働大臣が不服内容について情報公開審査会に諮問した。

諮問を受け同審査会は、平成14年11月に、「雇用率未達成企業名などを開示すべきである」などの内容で答申、同年12月に厚生労働大臣が審査会の答申に基づき決裁した。この決裁に対し関係企業から不服申し立てがあり、厚生労働大臣が同審査会に再度諮問することになった。

8日の答申を受け今後、厚生労働大臣による再決裁および裁決に基づく開示決定内容に関し、不服申し立て企業への通知が行われ、さらに2週間を経て請求人に対する開示が実施されることになる。

企業における身体障害者および知的障害者の雇用に関する状況については、毎年、障害者雇用促進法に基づき従業員56人以上の企業の事業主が公共職業安定所に報告し、この報告に基づいて「障害者雇用状況一覧」を作成。雇用率(一般の民間企業、常用労働者数56人以上規模=1.8%)未達成企業に対し、達成に向けた指導等が実施されている。

情報公開審査会再答申の要旨

  1. 平成12年6月1日現在の「障害者雇用率未達成企業一覧」について、その一部を開示するとした決定(平成14年12月の厚生労働大臣裁決)は妥当であるというのが、当審査会の結論である。
  2. 「同企業一覧」に記載された未達成企業のうち112社が開示の取り消しを求めた。その趣旨は、大要「開示により企業の社会的イメージ、信用度が低下し、またボイコット等の社会的制裁が行われる恐れがある」「障害者雇用促進法で定める行政指導を待たずに、趣旨、目的の異なる情報公開法により公にされることは、悪質な企業と同等にとらえられることとなる」「事業場内で障害者の特定、障害程度の詮索が行われる可能性がある」等である。
  3. 「同企業一覧」の開示の当否については、既に審査会が答申した内容と、それを受けて当初の開示内容を変更した(1)の裁決で判断が示されており、厚生労働省および当審査会は既答申に反映されなかった事情で、その判断に影響する特段の事情がない限り、既答申と異なる判断をすることはできないと考える。
  4. 前記した企業からの申し立て趣旨については、当審査会は既答申で「雇用率未達成の事実が直ちに悪質な法違反となる事業者名の公表を意味せず、また社会的制裁が行われたという具体的事案はなく、推測に過ぎないと認める」「情報公開法による開示と促進法による公表の両制度は併存し、それぞれの定めで開示・公表が行われるべきで、情報公開法の不開示理由に該当しない限り開示すべきである」「障害の態様の内訳は不開示が相当だが、その他については障害者の特定は困難で、当該障害者の利益を害する恐れはない」等の判断を示しており、それを変更する特段の事情は認められない。

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