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経営タイムス No.2690 (2003年9月4日)

スノー米国財務長官ら、日本経団連を訪れ奥田会長らと懇談

−米国経済の見通し、日本経済の現状などで意見交換


日本経団連(奥田碩会長)は1日、米国財務省長官ジョン・W・スノー氏一行を東京・大手町の経団連会館に迎え、懇談会を開催した。日本経団連側からは、奥田会長をはじめ槙原稔、西室泰三、御手洗冨士夫、三木繁光の四副会長が、米国側からはスノー財務長官のほか、ティム・アダムス同省主席補佐官、ランダル・クアールス同省次官補らが出席。米国経済の今後の見通しや日本経済の現状などについて率直に意見を交換した。このうち日本経済については、奥田会長が「回復軌道をたどり始めている」との見解を示したのに対し、スノー財務長官は「米国とともに世界経済成長のエンジンになってほしい」と日本の経済回復に期待感を表明した。

奥田会長、「日本経済は回復軌道」/スノー長官も期待感表明

懇談会では、まず奥田会長があいさつに立ち、日本経済の現状について説明。この中で奥田会長は、生産の持ち直しや企業収益の回復を背景に設備投資が増加基調にあることや、雇用や賃金調整が一巡して個人消費の持ち直しが期待されること、株価の回復で金融面の不透明感が大幅に後退するとともに設備投資や個人消費にも好影響を及ぼすとの見方があることを挙げ、「日本経済は踊り場を脱して、再び回復軌道をたどり始めている」との見解を示した。
その上で奥田会長は、今後を見通すための最大のポイントは、米国経済をはじめとする世界経済の動向であるとして、「米国経済が予測どおり今年後半にかけて順調に回復すれば、日本・アジアの経済は持ち直す」と米国経済への期待感を表明した。

これに対しスノー財務長官は、まず世界経済全体の状況について「経済の伸びが緩やか過ぎる」と指摘。その原因はドイツ、フランス、イタリアなど欧州諸国の現状にあるとして、欧州諸国が金融や労働政策などでより思い切った対策を講じ、構造改革を一層進めないと「世界全体が高い成長軌道に戻れない」と語った。

最悪の状況脱し良い方向へ/スノー長官が米の現況評価

次に、米国の状況については、第2四半期の経済成長率が2.4%から3.1%へと上方修正されるなど、最悪の状況を脱して良い方向に向かっていると評価。特にこの成長が、投資促進などを狙った減税政策の効果が現れる前に生じたことを強調し、「第3四半期は3%台を超え、4%台に達する高いレベルの経済成長を望めるかもしれない」とした上で、「減税効果が現れれば、米国経済は、2004年、2005年にはさらに好況を迎えることができるのではないか。日本にとっても米国への輸出増加という朗報になる」と明るい見通しを示した。
一方、日本の状況については、「第2四半期の経済成長率として、2.3%という良い数字が出たことで、みな驚いているのではないか。これが下方修正されないことを祈る」と述べた上で、日本が構造改革を一層推進し、「米国とともに世界の経済成長のエンジンになってほしい」と日本の経済回復と日本経済界へ期待を寄せた。


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