[ 日本経団連 ] [ 機関誌/出版物 ] [ 経営タイムス ]

経営タイムス No.2690 (2003年9月4日)

日本経団連産業問題委エンターテインメント・コンテンツ産業部会

−第1回会合を開催
−国際競争力強化への課題など検討


日本経団連は8月26日、東京・大手町の経団連会館で産業問題委員会のエンターテインメント・コンテンツ産業部会第1回会合を開いた。
同部会は、世界的に高い評価を受けているわが国のエンターテインメント・コンテンツ産業のさらなる発展にかかせない著作権保護や人材育成問題など、業界が横断的に抱える諸課題や促進策について検討することを目的に新設されたもの。日本経団連会員の音楽、ゲーム、放送、映画など業界の代表者40名が参加し、同部会の検討課題と今後の進め方について意見を交わした。

冒頭、香西昭夫・産業問題委員長が、同部会発足にあたりあいさつを行い、「エンターテインメント・コンテンツ産業はわが国経済の中で重要性を高めている産業分野。製造業と並ぶ重要な産業として振興していく必要がある」と、産業問題委員会の下に同部会を設置する経緯などを説明した。

また、齋藤宏・産業問題委員会共同委員長は、「エンターテインメント・コンテンツ産業が大きな飛躍の可能性を秘めながらも、諸外国に比べ、国策としての取り組みの弱さが、今後国際競争に勝てない事態を招きかねない」と指摘し、同部会がその解決に貢献できるよう期待感を示した。

つづいて、部会長を務めることになったエイベックスの依田巽会長兼社長があいさつに立ち、「コンテンツ産業の発展のため、課題打開に向けた業界横断的な議論を行い、産業全体としての考え方をまとめていきたい」と、分野の垣根を越えた協力の必要性を訴えた。
その後、事務局が、コンテンツビジネスに関わる当面の政府の動向とともに、部会メンバー企業による検討課題に関する事前アンケート調査結果を概説。関心の高かった事項として、(1)著作権保護問題(2)人材育成策(3)資金調達方法――が挙げられたことなどを報告した。

意見交換では、同部会が今後取りまとめていく内容の方向性を探る多くの意見や課題、アイデアなどが出された。
「諸外国では国策として実体経済に即した人材教育をしている。日本のゲーム業界の今後が懸念される」(襟川恵子・コーエー会長)、「この業界で、大きくリードしているアメリカやアジアの実情を視察する機会も必要ではないか」(矢内廣・ぴあ会長兼社長)、「産業振興を支える著作権問題をどう解決していくかが課題」(佐久間しょう二・WOWOW会長)、「ブロードバンド時代に対応した業界共通のコピー対策が必要になってきている」(盛田昌夫・ソニー・ミュージックエンタテインメント社長)、「日本の文化を守るという視点で、映画のアーカイブ化の推進を業界全体で考えたい」(石原清行・日活常務取締役)、「IT時代に入り、業界で共通した問題が出てきている。11兆円産業として考えていくべき時代が来たと思う」(角川歴彦・角川ホールディングス社長)。

これらの発言を受け、依田部会長は、「意見交換を通じ、取り組んでいくべき今後の方向性が明らかになってきた。次回以降の会合では、中身についての議論をしていく」と締めくくった。
第2回会合は、9月11日に政府のエンターテインメント・コンテンツ振興に向けた取り組みについて、荒井寿光・内閣官房知的財産戦略推進事務局長から聴取する予定。


日本語のトップページ