[ 日本経団連 ] [ 機関誌/出版物 ] [ 経営タイムス ]

経営タイムス No.2702 (2003年12月4日)

日本経団連人事・労務管理者大会・静岡大会開く

−自社の優位性強化へ/経営・人材戦略など探る


日本経団連は11月27、28の両日、関東経営者協会、静岡県経営者協会と共催で、「第104回日本経団連人事・労務管理者大会・静岡大会」を開催した。全国の人事・労務担当者ら約450名が参加した今大会のテーマは「経営・人事・労務の新潮流を読む―多様性とダイナミズム」。厳しい環境の中、自社の優位性を強化する経営戦略や従業員のやる気を起こさせる人事・人材戦略、業務を効率的・効果的に推進する社内体制のあり方などを探った。

同大会では、奥田碩・日本経団連会長が「これからの企業経営」をテーマに基調講演を行った。このなかで奥田会長は、これからの日本には民間が攻めの改革に取り組めるような環境整備が必要であるとした上で、「民間でできることは民間で、地方でできることは地方で」という考え方を貫徹し、需要創出型の構造改革に取り組むべきだと語った。
さらに奥田会長は、地方の役割がこれまで以上に重要になると指摘し、その具体的取り組みとして (1)地域主導による産業クラスターの形成 (2)構造改革特区への取り組み (3)行政サービスの民間開放などによる地域活性化と雇用創出――を挙げた。

次に「企業のダイナミズムと人材戦略―人事経済学の視点から」と題して講演した樋口美雄・慶應義塾大学教授は、これからの人事制度は企業の経営戦略と直結したものでなくてはならないことや、社員のインセンティブ向上を重視した上で経済合理性を徹底的に追求したものでなければならないことを強調した。

また、鼎談「不況下の元気企業―そのパワーの素を探る」では、中静夫・タナベ経営副社長、草間三郎・セイコーエプソン社長、今井伸・毎日新聞社論説委員が、活力ある企業トップの考え方や姿勢、企業理念・哲学・文化、事業領域・キーテクノロジー、技術開発力、組織体制、人事諸制度などについて実例を紹介した。

経営者講演では、日本経団連副会長でもある御手洗冨士夫・キヤノン社長が「人を基軸にした経営―キヤノンの経営哲学とその実践」について、また、晝馬輝夫・浜松ホトニクス社長が「人を活かした経営―私の実践」について、経営理念を語った。
御手洗社長は、社長就任後に行った「部分最適から全体最適へ」「利益志向優先主義」「現金主義」などの意識改革や、「不採算事業からの撤退」「キャッシュフロー経営の実行」といった企業革新の経験などを披露した。
また、晝馬社長は、「新産業は現在不可能と思われているものの中に存在している」との考え方や、新たな産業の可能性などについて語った。

「多様な人材の活用と育成に向けた人事処遇制度の改革」をテーマとしたパネル討議には、渡邊邦幸・日産自動車常務、右近弘・ヤマハ発動機常務取締役、松川誠・スターバックスコーヒージャパン人事総務部門長がパネリストとして参加。評価軸の透明性を高めることや目標を明示することが従業員のやる気を引き出すポイントになることなどがあらためて確認された。

最後に二上達也・将棋九段・日本将棋連盟相談役・前会長が「成功への道」と題して特別講演を行い、閉会した。


日本語のトップページ