経営タイムス No.2713 (2004年3月11日)
日本経団連は1日、税務書類の電子保存範囲の拡大を改めて求める要望を政府および与党に建議した。
近年、民間の事業活動の電子化を妨げている規制の見直しが進められてきたが、残されたなかで業種横断的に影響の大きいものに税法による帳簿書類の7年間の保存義務がある。1998年に施行された「電子帳簿保存法」により一部電子保存は可能になっているものの、取引の相手方から紙で受け取る契約書や領収書などの書類、手書きの帳簿等は対象から除かれており、その保存に多大な費用がかかっている現状がある。
内閣のIT戦略本部は、昨年、「e-Japan戦略II」において、電子保存が認められていない文書等について電子保存を認める方向性を決定。それを受け「e-Japan重点計画―2003」では、要件やスケジュールなどの対応の方向性を今年度中に明確化することになったことから、日本経団連では情報通信委員会で、電子保存の条件や方策について検討を行ってきた。
また、IT戦略本部の会合において本部員を務める石原邦夫・情報通信委員会共同委員長が、税務書類の電子保存範囲の拡大へ理解を求めてきた結果、同本部で先月決定された「e-Japan戦略II加速化パッケージ」に、税務書類を含めて電子保存を可能とするための統一的な法律(e-文書法)の制定等を行うことが盛り込まれることとなった。
「加速化パッケージ」では「電子保存の容認の要件、対象範囲等について早急にとりまとめ、2004年6月頃を目途にIT戦略本部に報告を行い、法案を早期に国会に提出する」としており、今回の要望は、そのタイミングをにらんだもの。同要望は次の通り。
取引の相手方から紙で受け取る契約書などの書類や手書きの帳簿等について、できる限り早期に電子保存を認めるべきである。
その際、真実性、可視性等の確保が必要とされていることに鑑みれば、紙文書を電子データに変換(電子化)するにあたって、以下に示すような一定の条件を設けることが重要と考えられるが、その具体的水準については、企業の保存コストの削減等につながるものとすべきである。
オリジナル | 保存形態 | 現状 |
---|---|---|
紙 | (撮影)マイクロフィルム | △ (6年目以降。一部証憑書類4年目以降) |
紙 | 電子データ | × |
電子データ | COM (電子計算機出力マイクロフィルム) | ○ (承認制) |
電子データ | 電子データ | ○ (承認制) |
電子取引情報 | 電子データ or 紙 or COM | ○ |