[ 日本経団連 ] [ 機関誌/出版物 ] [ 経営タイムス ]

経営タイムス No.2716 (2004年4月1日)

日本経団連、アジア・大洋州地域の大使と懇談

−各国・地域の情勢を聴取/経済交流などで意見交換


日本経団連(奥田碩会長)は3月25日、東京・大手町の経団連会館でアジア・大洋州地域の大使と懇談した。在外公館から、榎泰邦・在インド特命全権大使、時野谷敦・在タイ特命全権大使、高野紀元・在大韓民国特命全権大使、阿南惟茂・在中華人民共和国特命全権大使、塩尻孝二郎・在米国特命全権公使ら、外務省本省からは藪中三十二アジア大洋州局長らが出席。各国・地域の情勢を聞くとともに、今後の経済交流などについて意見を交した。

冒頭あいさつで奥田会長は、日本が通商立国をめざす上でWTO(世界貿易機関)による多角的国際通商体制の維持・強化とともに、東アジアなど戦略的に重要な国・地域とのEPA(経済連携協定)の早期締結の必要性を強調した。さらに、東アジア自由経済圏を形成して、日本が同地域のハブとしての活力・競争力を維持・強化していくべきとの考えを述べた。

続いて行われた各国情勢報告ではまず、阿南大使が中国情勢を説明。日中関係では、政府レベル・中央レベルの関係が中心であり、民間や地方レベルの関係が十分に根付いていないと指摘した。
また、中国経済の将来については、2020年にGDP(国内総生産)を2000年の4倍にする目標に向け、積極的な財政政策を維持するとの予測から、「ビジネスチャンスは無数にあり、日本経済にとってますます重要な存在になる」と語った。

韓国の経済情勢について高野大使は、昨年の経済成長率は3.1%と、1998年のアジア通貨危機以来の低い数字であったことや、盧武鉉大統領の弾劾後、マクロ経済へのさしたる影響はないこと、国内消費・投資は横ばいまたは引き続き低迷していることなどを報告した。

時野谷大使はタイと日本とのFTA(自由貿易協定)交渉について、「日本は一生懸命取り組まなくてはならない」と述べ、タイの議会などでFTAを十分勉強する必要があるとの雰囲気が出てきていることを指摘した。

インドの対外関係について榎大使は、米・中・ロと関係を強化するとともに、経済的な観点からアセアンに接近していると述べた。

塩尻公使は、アメリカ大統領選挙の情勢に絞って説明。民主党のケリー候補と、共和党のブッシュ現大統領の接戦が予想される中、「国民の最大関心事は経済であり、なかでも失業問題である」と指摘。今年4〜6月期の経済指標、特に雇用創出数がどの程度になるかが投票に影響するのではないかとの見方を示した。


日本語のトップページ